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VOLVO XC90 |
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■発表 2006・10 |
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XC90、ここに熟成す……
「3.2」のナイスバランスにはとくに注目 |
SUVでも高度な安全対策を実践して登場したボルボXC90が
2003年デビュー以来、初のリニューアル
シリーズのなかでもクローズアップされるのが、新開発3.2L直6搭載の3.2だ |
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最新のXC90・3.2は、クロスオーバーSUVとして、間違いなくトップランクの走行フィールを備えた魅力の1台だ。約8時間、北海道函館の美しき市街地や雄大な山間部を貫くワインディングロード、タフなオフロード林道で心ゆくまで試乗。その走りっぷりにたしかな手ごたえを感じた。従来のXC90シリーズには機会があるごとに試乗してきたが、なかでも今回の3.2はインパクト抜群。おかげでロングドライブを大いに楽しむことができた。では3.2の何が素晴らしいかといえば、トータルバランスの一語に尽きる。
まず第一に、新開発の3.2L直6+6速ギヤトロニックATがよい。シフトポイントとなる6500回転までスムーズかつ力感満点。Dレンジのままでもレスポンスよく、スポーティフィールを堪能することができる。エンジン音がヒステリックさのない好音質なのでなおさらだ。
シーケンシャル操作でのアグレッシブな走りに対して、新パワートレーンは期待どおりにこたえてくれる。総じて加速フィールはスムーズ。登坂路での発進時に力感十分なのは、後輪にあらかじめ8.2kgmのトルクが伝達されているというお馴染みのプレチャージ式電子制御4WDシステムに負う。ちなみに新たに後輪での最大トルク立ち上がり時間は50%短縮、プロペラシャフトのトルク許容量が50%強化されているという。
アクセルワークに応じて発進からクルージングまで好レスポンスを見せるXC90。強いてあげれば、Dレンジ・ハーフスロットルからのデリケートなアクセルワーク時に、若干ながらシフト感が渋くなることがある。が、とくに不快感をともなうほどでもないといえばないか……。
それにしても、XC90・3.2が本領を発揮するフィールドはワイドだ。高速道路も然り。100km/hは、6速2000、5速2600、4速3500、3速4600回転にすぎず、もちろん余裕しゃくしゃく快適だ。これなら、ロングツーリングはお手のもの。どこへでも行きたくなる。マインドをアウトドアへと誘ってくれるところが心憎いではないか。
もちろん、加速性だけでそこまで惹かれはしない。フットワークのよさとバランス、そこがいいから3.2がクローズアップされるのだ。これまでのXC90は、モデルによって多少の違いこそあれ、腰高感があって身のこなしが重々しかった。ところが、3.2はまるで違う。コーナーでは剛性感十分。ロールが気にならず、安定したフォームを保つ。手ごたえのよい2.6回転のパワステに応じ、重量級のSUVとは思えない素直さであらゆるコーナーをクリア。右に左に連続するテクニカルコースでさえ、まったく苦にしないというから価値がある。しまいにはSUVだということを忘れ、サルーン系のスポーティカーに乗っているかのような錯覚を抱いたほど。これほどハンドリングがよく、正確度のあるSUVは希少といえる。
もうひとつ、フットワークで注目できるのは、乗り心地。イメージ的にはゴツゴツしてそうだが、さにあらず。全般的にマイルド感があって、なかなかの好フィールなのだ。ハンドリングと乗り心地が両立されているのは、235/65R17タイヤ(コンチネンタル・クロスコンタクト)とのマッチングにも因ろう。 |
文●横越光廣 写真●菊池貴之 |
●シートは本革で高級感をかもす。タッチは硬からず柔らかからずで、サポート性はなかなかだ。前席は8ウェイパワーシート。運転席はドアミラー連動メモリー機構付となっているが、もっともうれしいのはリフター量が大きく、絶好のアイポイントがとれること。ポジションもグッド。2列目シートは40対20対40の分割可倒。ドア側は前方に109mm、中央は284mmスライド可。前席と比べると、後席の乗り心地はいまひとつ。ゴツゴツ感が伝わってくるし、形状的にもリラックスできない。少しでいいからシートバックを寝かせるかリクラインがほしいところ。3列目はヘッドルームに若干のゆとりがあってとくに圧迫感はなし。 |
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●2列目シートの中央部は新開発インテグレーテッドチャイルドクッション。前席側に284mm引き寄せられる。 |
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●07年モデルは内外装ともに洗練度が高まっている。ステアリングはテレスコ・チルトでリムは太め、その他の操作類も扱いやすい。インパネまわりはシンプルで、メーターやスイッチ類は機能的だ。 |
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●シートアレンジは絶妙にして多彩。助手席シートバックを前方に倒してのフルフラット化もOK。2列/3列目を倒しただけでも1837Lとなる。 |
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●新開発の3.2L直列6気筒は、5気筒よりも全長が3mm長いだけの625mmとコンパクト。ボルボがクランプルゾーンを確保するためにこだわる横置きレイアウトが可能になった。可変バルタイ&リフト量可変機構を採用。10・15モード燃費は、従来の直2.5Lライトプレッシャーターボ+5速ATの7.7から7.8km/Lへ向上。 |
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■シルバーM ■ブラックサファイアM ■ラーバサンドパール
□アイスホワイト ■ウィローグリーンパール ■シャドウブルーパール |
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転倒リスクを低減する
RSCシステムを採用
全高と重心の高いSUVは転倒しやすいというリスクがある。横転事故を極力防止しようというのがロールスタビリティコントロール(RSC)。ジャイロセンサーが車体の傾き加速度を検出、横転の危険性を感知するとエンジン出力を下げ、さらにブレーキをコントロールして姿勢を安定させる。このほか、低ミュー路などで有効なDSTCと、アクティブセーフティにも全力を注ぐ。 |
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