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VOLVO XC70 |
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■発表 2007・10 |
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新型XC70はオンオフ問わない
頼もしい走りを実現する |
ボルボのクロスオーバーであるXC70がフルモデルチェンジ
新世代の直6エンジン、ヒル・ディセント・コントロールなどの
メカニズムを新採用し、質感のある走りを獲得したのだった |
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7年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたXC70は、今回が3代目のモデル。頼もしいオフロード走破性能はキープしながら、2代目よりさらにエレガントでラグジュアリーなキャラクターを強化したという。
たしかにエクステリア面では、その象徴ともいえた樹脂製プロテクター部分の面積が減り、クロムメッキやボディ同色部分が増えた。スタイリングそのものもタフなボクシーイメージから、洗練された流れるようなラインが印象的になった。そのためか、全体がコンパクトになったようにも見えるが、実際のサイズは全長で80mm、全幅で30mm、そして全高で45mmのスケールアップ。ホイールベースやトレッドなど、シャシーもロング&ワイド化し、走行性能の向上も実現している。
ただ全高は高くなったものの、最低地上高は2代目より25mmも低くなった。これは室内スペースの拡大と走行安定性の向上に貢献するものだが、オフロードでは逆にデメリットなのでは? が、ご心配なく。フロントのアプローチアングルとリヤのディパーチャーアングルについては、それぞれ2代目より増大していて、氷雪路や林道、河原などへ安心して踏み込んでいけるのは、2代目と変わらないだろう。
そしてボディ&シャシーのサイズアップは、これまで以上に広い室内空間を提供することになった。とくにリヤシートのレッグスペースは2代目に比べ50mmも増加、ラゲッジルームの積載容量については60Lも増えている。
一方、ハードウェアの面では、XC90やS80にすでに搭載されている3.2L直列6気筒エンジンを採用したのがトピックス。従来の2.5L直列5気筒に対し、全長をわずか30mm増に抑えたコンパクトなこのエンジンは、もちろんボルボ流に横置きされ、衝突安全性の確保や室内スペースの有効活用にアドバンテージを得ている。パワースペックや環境性能でも2.5Lターボを上まわり、今後ますます、ボルボの主力車種への搭載が期待される。
すべてが新しくなったXC70の乗り味は、ストロークの大きなサスペンションと懐の深いダンパーの設定による、フラットライド感が心地いい。欧州車にありがちな硬質な印象はないが、しかし攻め込むようなコーナリング時もしっかりと踏ん張り、姿勢と挙動を安定させる足まわりのセッティングは、エステートのV70と互角、車高の高さをいささかも感じさせない。2代目に比べ、ボディ全体の剛性が飛躍的に向上したことがこの好印象を生む秘密だろう。
エンジンは6気筒のわりに、ややガサツな感じもありにぎやかだが、アウトドア志向のクルマということを考えると、そのキャラに合っているかも?しれない。もちろんそこそこのトルクがあり、アクセルをアオったときの加速感はダイナミックそのもの。
またXC……ということで、大きな砂利の転がるダート路に踏み込むと、さらにこのサスペンションの出来のよさ、そして新進のプレチャージ式電子制御AWDの完成度の高さが確認できる。荒れた路面でも突き上げをほとんど感じさせず、乗り味は上々。スピードを高めれば高めるほど、タイヤが地面に吸い付いていく感じで、さすがWRCフォードチームのサポートカー……と納得。急な登り斜面で急加速も試したが、4輪はストールせず確実にグリップ。この挙動は氷雪路での安全走行をも約束してくれるはずだ。 |
文●高坂義信 写真●犬塚直樹 |
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タイヤは235/55R17というロープロファイルながら、オールシーズンタイプ(M+S)のピレリ採用で、路面を問わない走りを披露。 |
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ドアミラー下のカメラでドライバーの死角をカバー。死角にクルマやバイクが入ると両サイドのドアパネル警告灯で知らせてくれる。 |
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●従来に比べ拡大した室内スペース、とくに後部座席足もとはかなり広々。デラックスパッケージのフロントシートはベンチレーテッド機能付き、リヤには高さ2段階調整式のチャイルドシート2席が内蔵される(ファミリーパッケージ)。 |
●“エレガントでラグジュアリー”はインテリアでも具現される。室内デザインはスウェーデン王室出身デザイナーからヒントを得て構成、独自の“フリーフローティング・センタースタック”がエクスクルーシヴな雰囲気を盛り上げる。“デラックスパッケージ”ではパーフォレーテッド・レザーシートや、デンマーク・DYNAUDIO社製の世界トップクラスのプレミアム・オーディオシステムも装備。 |
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●先代より60Lも容量が増えたラゲッジルーム。セカンドシートは4対2対4の3分割可倒式で実用性も高い。さらにリヤゲートはフォースリミッター式のパワー開閉式。開ける時はリモコンで、閉める時はゲート下部のスイッチを押さないと動かない安全対策も施されている。 |
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●今後ボルボの主力エンジンになる3.2L直6自然吸気エンジン。VIS(可変吸気システム)やVCT(吸気側カム可変タイミング機構)などの採用でパワーと、三つ星の低排出ガス車認定のクリーン性能も併せもつ。 |
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■ブラックサファイヤメタリック ■バレンツブルーパール ■オイスターグレーパール
□アイスホワイト ■ルビーレッドパール ■ウィローグリーンパール
■エレクトリックシルバーメタリック ■シーシェルメタリック |
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ボルボ初のヒル・ディセント・コントロールを新採用
他社のSUVではすでに当たり前のように採用される“ヒル・ディセント・コントロール(HDC)”だが、ボルボでは今度のXC70に初採用。これは急坂を下る際、ブレーキシステムを制御するもので、ダッシュボードの機動ボタンをオンにすると、ブレーキを踏まなくても降坂のスピードを時速10kmに制限、さらに急な坂では時速7kmに制限する。オフロードではもちろんだが、現実的には氷雪路での下り道で、その威力を発揮する。 |
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