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VOLVO V70/XC70 |
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■発表 未定 |
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1クラス上のいく満足感
ボルボの本命がいよいよ上陸 |
7年ぶりのフルモデルチェンジが行われたV70を
国際試乗会が行われたドイツで徹底チェック
その完成度の高さはステーションワゴンの老舗ならではだった |
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1927年に第一号乗用車を送り出したボルボ。今年で創立80周年を迎えたこのスウェーデンのメーカーは、その歴史の過半を同社が『エステート』と呼ぶステーションワゴンと共に歩んできた。
ボルボ最初のエステートは、1953年にリリースされたPV445。“ON”と“OFF”すなわちビジネスとプライベートの双方にマッチするという事から『デュエット』という愛称も加えられたこのモデルの狙いどころは、つまり現在ラインアップされるVシリーズのそれと何ら変わりない。3代目となった新型V70のルーツは、すでに半世紀以上も前にリリースをされたこのモデルにあるという事だ。
新しいV70は、ハードウェア的にはもはやそれを“V80”とさえ呼んで過言ではない内容の持ち主。6気筒エンジンも用意をする基本骨格は、ひと足早くモデルチェンジを済ませたS80のそれと共通。つまり、「その気」になればS80同様にV型8気筒エンジンも搭載可能であるという事。ネーミングは同じ『V70』でも、新型が事実上1クラス上へとポジショニングを移行させた事が、このあたりからも裏付けられる。
そんな“アップグレード”がもたらした効果のほどは、走り出せばすぐに納得出来る。たしかに内外装も定評あった従来型に輪をかけて上質だが、走りの滑らかさ、上質感のほどは「もはや別モノ」と言っても良いほどの味わいだ。
ドイツで開催された国際試乗会に用意をされたテスト車は、シリーズ最強のターボ付き3Lエンジンを6速ATと組み合わせ4WDシャシーに搭載する『T6』。1.7トンを下回る重量に285馬力と40・8kgmを発する心臓という組み合わせだから加速が強力なのは当然としても、そのパワーフィールが直列6気筒エンジンらしくスムーズで、かつ静粛性にも富んでいる事がとても好印象だ。電子制御式の可変減衰力ダンパー“FOURーC”も良い仕事をしてくれる。コンフォート/スポーツ/アドバンスト、と用意をされるどのポジションを選んでもストローク感がスムーズで、こちらも上質な乗り味を提供してくれるのだ。
一方、そんなV70をベースとしたXC70は今回、見た目に加え実際の機能上でもよりSUV風味を増す方向でのモデルチェンジを敢行。アプローチ/ディパーチャーなどのアングルを増し、渡河能力も向上させるなどで踏破性をアップ。滑りやすい坂道で10km/hという速度をターゲットとした自動ブレーキングを行うヒル・ディセントコントロールも新採用し、オフロードでの走りのポテンシャルにも磨きを掛ける事でV70とのキャラクター分けを従来型の場合以上に鮮明に打ち出したのだ。
こちらは3.2Lの6気筒エンジンを搭載した『3.2AWD』でテスト。V70比でやや増した重量に対して、238馬力と32・6kgmというパワーとトルクの組み合わせは、「必要にしては十分ながら、こちらにもターボ付きエンジンの設定があっても悪くはないかナ」というのが率直な印象。大径のシューズやワイドなフェンダー、ボディを取り巻くプロテクト・パネルなどで「特別なボルボ車」である事を演じる外観に比べると、インテリアはドレスアップ効果が控えめな印象。しかし、本格SUVであるXC90とは異なり、あくまでもV70と同様のステーションワゴンとしての使い勝手を提供してくれる点がまた、こちらの売りのひとつでもあるのだろう。 |
文●河村康彦 写真●ボルボ・カーズ・ジャパン |
XC70 |
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●現行モデルに比べ、若干サイズアップ。凝縮感があるためか、パッと見は引き締まった印象を受ける。XC70はさらに行動力のある佇まいになった。縦型テールランプはもちろん継承。 |
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●運転席まわりは先に登場したS80と共通で、クリーンな雰囲気が際立つもの。また、シートはたっぷりとしたサイズのものを使用し、ボルボらしいリラックスできる空間を約束する。 |
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●現行モデル比で、60Lの容量アップを実現したラゲッジルーム。ワゴンには誇りのあるボルボだけに、使い勝手もさらに進化し、スライディングロードフロア、そのほか数々の収納システムなどを採用している(一部オプション)。 |
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●エンジンラインアップは直列5気筒、6気筒が用意され、横置きに搭載される。また、トランスミッションには定評あるアイシン製6速AT。試乗したT6に搭載されるターボは強力のひと言。フル乗車でも威力を発揮してくれるだろう。 |
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50年以上の歴史を誇る
ボルボエステート
エステート(ESTATE)の意味は「所有地」「財産」。その名称を受け継いできたのがボルボのステーションワゴンだ。ルーツであるPV445のデビューは53年。ヨーロッパではまだワゴンの存在は一般的ではなく、ボルボは市場の先駆者となった。62年にP220系(アマゾン)、67年に145へと発展。セダンに匹敵する快適性とワゴン本来のユーティリティを融合させた「エステート」は耐久性、安全性と並ぶ、ボルボを象徴する輝かしい記号になった。そして、本物志向のエステート造りの思想は、新型モデルにも貫かれる。 |
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