スタイリッシュなフォルム、上質な内装、たしかな走りに加えて、「シティセーフティ」に代表される最先端の安全メカを身につけたXC60は、流行りの高級クロスオーバーのなかでも注目度の高いモデル。とはいえ、設定は285馬力/40.8kgmの3L直6ターボを積むAWD車のみで、性能面や価格面から見ると「少し贅沢すぎ」の印象があったのも事実だ。そこで、「お待たせしました」とばかりに、T5SEが登場してきた。
これは203馬力/30.6kgmの心臓と、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)の6速パワーシフト、FFの駆動方式を組み合わせたモデルで、0→100km/h9.6秒の性能と、10・15モード10.2km/Lの好燃費をバランスさせている。しかも、価格はT6SEより100万円も安いのだから、親近感がグッと増した印象がある。
なお、T5の名は5気筒ターボを連想させるが、ボルボは今後、気筒数ではなく性能ランクを示す数字ネームを採用するという。XC60は直噴2Lターボの4気筒を積む。回転のスムーズさや静粛性といったフィーリング面を含めて、新開発の4気筒直噴ターボは満足のいく仕上がり。日常走行ではゆとりある走り、峠道のハイペース走行ではスポーティな味わいを楽しませてくれた。さらに、パワーシフトの変速&クラッチ動作が、昨年型の搭載車より滑らかになったことも報告しておく。
で、もうひとつのT5 SEの特徴は、軽い4気筒を積むモデルならではの軽やかなフットワーク。同じ18インチタイヤを履くのに、T6 SEより乗り心地のゴツついた感じが減少しているのも見逃せない。6気筒+AWDのT6 SEには、重厚感ある走りや、ビシッと正確なハンドリングという美点があるが、経済性を含めた総合力を考えれば……。今後の主力がT5 SEになるのは間違いないだろう。
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