スタイリッシュなデザインのS60/V60がボルボの新しい一面だとすれば、このV70はまさにトラディショナル。「Versatility(多様性)」の頭文字を車名に戴くボルボ・エステートの正統派であり本流だ。そんな重要車種のV70ではあるが、モデルチェンジによる車格アップとそれにともなう価格上昇が売り上げ的に逆風だったのは事実。
しかし、今回のビッグマイナーチェンジによって、そんな状況が一変するかもしれない。
今回の改良の大きなポイントは、ひとつにエンジンラインアップの変更とそれに合わせたグレード体系の一新にある。その旗手となるのが、1.6L直4ターボを搭載するDRIVe。180馬力を発揮するこのユニットは、小排気量ならではの低燃費と環境性能が自慢。
エコロジーであることは、同時にエコノミーでもあって、エコカー減税の対象車として約20万9000円の減税措置が受けられる。
ボルボといえば、安全技術への飽くなき探求が知られているが、その最新の成果がV70にも採用されている。代表は「シティ・セーフティ」と「ヒューマン・セーフティ」という2種類の自動ブレーキシステム。これらによって、自動車事故の大きな要因である前方不注意をカバーできるという。
車両に搭載されたレーダーやカメラの情報を解析することによって、衝突を回避、もしくは衝突によるダメージを軽減する。これらをセットにしたセーフティ・パッケージは、T6 AWD TEに標準装備で、それ以外のモデルでは25万円のオプションとして提供している。
注目される1.6Lエンジンだが、ドライバビリティについても必要にして十分。デュアルクラッチ式ATとのコンビネーションによって、2トン近い車体をスルスルと加速させる。そのたおやかな乗り味は、ハイパワーモデルとは違った意味での気持ちよさで、むしろ好ましいとさえ感じられた。
|