2011年に日本に導入されたV60は、安全で高品位という従来のボルボの価値観に、スタイリッシュさやスポーティな運転感覚という新しい要素を積み重ねることで、ボルボのねらいどおり新しいファン層の獲得に成功した。2014年モデルとしてリファインを受けた新型の特徴は、ずばり継承と洗練だ。
継承とはつまり、従来好評だった部分を受け継いでいるということで、スタイリッシュなライフスタイルワゴンというキャラクターは受け継いでいる。その上で全方位に3年分の進化を遂げたというのが新型V60のざっくりとしたプロフィールとなる。
まず、ボルボが先鞭をつけた安全技術について。ミリ波レーダーとカメラで歩行者を検知する「ヒューマン・セーフティ」に、サイクリスト検知機能が追加されたことがトピック。ボルボは、2020年までに新しいボルボ車がかかわる自動車事故死傷者をゼロにすると目標に掲げているが掲げているが、その実現にまた一歩近づいたと言えるだろう。ドアミラーの死角をフォローするBLISも、従来のカメラ式からレーダー式へと進化。昼夜を問わず、後方から接近するクルマを警告するようになった。
今回試乗したのは、3.0L直6エンジンを搭載するT6 AWD。ラインアップのなかで上級グレードに位置するモデルということで、その走りの進化にも期待が集まる。まず印象的だったのが市街地でのマナー。235/40というファットかつ扁平な18インチタイヤにも関わらず、上質と表現できるほど乗り心地は良好。300馬力を超えるパワーを誇りながら、荒ぶることなく余裕と爽快感のある走り味は、4気筒モデルとの価格差を納得させられる完成度に仕上がっていた。これならば20万円高で設定される329馬力の公認チューニングバージョン「ポールスター・パフォーマンス・パッケージ」にも俄然興味がわいてくるというものだ。
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