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VOLVO S60R&V70R |
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■発表 2004・11 |
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洗練された高性能たゆまず進化する「R」 |
高性能モデルとして注目を集めるボルボの「R」が
05年モデルとしてS60/V70ともに進化・発展
すべてにおいて魅力を増した |
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引き立つドライバビリティ |
ボルボの「R」といえば、初代はモータースポーツの世界でも活躍したハイパフォーマンスカー。
04年モデルからの主な変更点は、外装、18インチホイール/タイヤ、オーディオシステムなど。R専用としては、コンフォート、スポーツ、アドバンスド・スポーツという3モードから成るFOURーCテクノロジー、電子制御AWDなどの最先端テクノロジーが、惜しみなく傾注されている。
04年モデルでもそうだったが、Rに対しての期待は、まずはスポーツ性にかけられる。アクセルを踏み込んで、どんな反応を見せるかが注目どころ。最大過給圧1.1バールの2.5Lターボが、どれほどの瞬発力を見せるか、興味津々だ。S60RのDレンジフル加速では、6000〜6400回転でシフトアップ。全体にトルクフルでピーキーさはないが、3500回転から力感を増し、4000〜6000回転までは一段と力強く吹き上がる。最高300馬力、最大35.7kgmとパンチ力は強力なるも、急発進時などで方向性が乱れることはない。さすがはAWD。DSTCをカットしても、トルクステアのようなジャジャ馬的な挙動はなく、安定した姿勢のままグングン加速する。
Rの頭文字はレーシングではなくリファインメント(洗練)を意味するが、1850〜6000回転にわたり最大トルクを保つことに裏づけられたドライバビリティと安定感、そこが大きな持ち味となって表れている。 |
サスのベストはスポーツモード |
ホールド式のシーケンシャルMTモードをたくみに駆使すれば、よりスポーツ性は高まる。1、2速のマキシマムは60、98km/hで、100km/h時のエンジン回転は、5速2300、4速3000、3速4500回転。もちろん余裕十分で、加速レスポンスもよい。唯一気になるのは、加速時のノイズが後席の乗員に少しばかり耳につくこと。ただ定速時にはとくに気になることもない。
3モードのサスは、コンフォートでは乗り心地がマイルドだが高速時にはフワフワ感と形容できるリフトが気になり落ち着かない。ハードなアドバンスドスポーツでは、ゴツゴツしすぎて実質的に非現実的だから、ベストはやはりスポーツモードということになる。
55対45の前後重量バランスのS60は、2.5回転のパワステに対し、スポーティな挙動を見せてくれる。全般的に見れば、際立ってクイックとは言えないが、中速コーナーの連続などではじつに見事な走りっぷりを披露してくれる。スタビリティ自体はハイレベル。限界近くでは、少々ロールとアンダーステア傾向が気になるか。さらに言えば、小まわりがきかない。最小回転半径6.5mという大きさは、ときに負担にもなる。
前後バランスが54対46のV70Rは、S60より走りがマイルド。キビキビ感はさすがに失われるが、安定感と乗り心地のマイルド感では、アドバンテージがある。
ハンドリングは安定志向になり、操舵スピードが速いとレスポンスと大きめのロール感に不満を感じるが、ていねいなハンドルさばきを基本に走りをマネージメントすれば、上々の手ごたえを感じるはず。とくに中速コーナーが左右に続くワインディングロードでは、簡単に姿勢を乱すことなく、スムーズでいてハイアベレージを保ったままの、ホレボレするような走りを見せてくれる。重厚感も味わえる走りのクオリティに、Rモデルの魅力を見た。 |
(文●横越光廣 写真●犬塚直樹) |
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●「R」の05年モデルは、リヤエンドのデザインを一新するなど、一段と魅力を増した。外観面での専用設計は、アグレッシブなフロントまわりの造形。とくにS60Rはフロントのリフト量が20%軽減という空力性能の向上が見逃せない。リヤスポイラーも非常に有効。V70Rと同じく、走る姿がダイナミックでかっこいい。 |
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●5スポークアルミホイールは、Rの刻印の入った8J×18インチ。前330/32、後ろ330/28mmの大径ブレーキは、ブレンボ製アルミ4ピストンキャリパー。 |
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●専用スポーツシートはプレミアム・レザーでタッチがよい。低めのポジションの前席は8ウェイパワー。S60よりV70のほうが後席スペースにはゆとりを感じる。シートのフィット感はまずまず。 |
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●テレスコ&チルト・レザーステアリングは、R専用の速度感応式ZFサーボトロニック。メーターはメタルブルーが新鮮。LEDによるベゼル、目盛り部の透過光と直接照明のコンビにこだわりが感じられる。 |
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●Rとはいえ、ユーティリティにはもちろん優れている。V70のラゲッジルームは、床がフラットで使い勝手がよい。後席は60対40左右分割可倒式。アレンジにも不足はない。 |
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●KKK社の大型ターボは、最大過給圧を1.1バールにアップ。ツインインタークーラー、ワイドレンジデュアルCVVTを採用し、最高300馬力を発生。しかもトルクは、1850〜6000回転にわたり最大値を保つ。 |
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■シルバーメタリック ■マジックブルーパール ■フラッシュグリーンメタリック
■チタニウムグレーパール ■ブラックサファイヤメタリック ■パッションレッド |
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V70 T-5 Sport |
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クリアタイプのリヤコンビランプや、ボディ同色モールディング、クロームライン入りバンパーモールを導入。より上質に変身!
V70 T-5スポーツ:646万円 |
充実のボルボ2005年モデル
モデル中期に大幅改良を施し、最後までおいしさを保つのがボルボ流の育て方。05モデルのV70/XC70/S60がその時期にあたる。内外装の質感向上から、走りの洗練まで計3500カ所におよぶ改良が施され、一段と魅力を高めて投入された。 そのなかからピックアップしたのはV70T-5スポーツ。高圧ターボ搭載のFF最上位モデルは、2.3Lから2.4Lに増強されて+10馬力/2kgを獲得。進化はアクセルをひと踏みしただけでわかる。2.4Lはより低い回転から力感を示し、中高回転域へのつながりもグッと自然に。実用域の性格のよさでは低圧ターボに分があるが、高圧ターボにはパワー感、速さという武器がある。完成度は高い。 もう1つの明確な進化は、電制ダンパーを核とするFOUR-Cアクティブシャシーの導入。従来モデルは17インチ45タイヤを履きこなしているとまでは言えず、低速ではコツコツ振動が伝わってきた。が、新型はオプションの18インチを履いても乗り心地にほとんど不満がない。それでいて、高速走行や旋回・制動時などには瞬時かつ適度に減衰力が高められるから、スポーツ走行も堪能できる。(森野恭行) |
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