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VOLVO S40&V50 |
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■発表 2004・2 |
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どのグレードがシアワセになれる?
車種は決まっても悩みは続く…… |
ダイナミック・サルーンのS40、ニュースポーツ・エステートのV50。
その中心グレードとなる2.4&2.4iにようやく試乗することができた。
結果は上々! コンパクトボルボの新たな可能性にあふれていた |
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グレードはセダン、ワゴンともに2.4、2.4i、T-5 |
新型S40とV50は、7年ぶりにモデルチェンジしたボルボの意欲作。コンパクトボディながら、最上級「S80」並みの安全性を備えるという。しかもスタイリッシュでエモーショナル。インテリアを含め、隅々に至る安全対策とフレッシュなイメージに好感が持てる。
エンジンは、ベーシックな2.4の140馬力、2.4iの170馬力、T-5の220馬力という3タイプ。これはS40/V50に共通。すでにターボ装備の高性能版となるT-5には試乗済み。今回は、ほか2タイプにスポットを当ててみた。
最初に乗ったのはV50・2.4。自分のなかにパワフルなT-5のイメージが残っているので、さぞかし加速性にもどかしさを感じるものと心配していた。3名乗車+40kgほどの荷物を積んでいたのだからなおさらだ。
だが、いざ走ってみるとノープロブレム。不足どころか、十分すぎる走りっぷりに意外性さえ感じた。Dレンジフル加速では6200回転前後でシフトアップ。挙動にダルさはなく、スポーティ感さえ味わえる。それ以上に注目できるのがドライバビリティに優れることで、それは市街地から山道までコースを選ばない。
もちろん、高速クルージングは余裕十分。100km/hは5速2200、4速2800、3速4200回転たらずとハイギヤードにもかかわらず、加速レスポンスは自然でアクセルを踏めばスムーズに車速を伸ばしていく。それだけに気分も上々。強いて気になる点をあげれば、加速時にはエンジン音が若干耳につくこと。少々くぐもった音質がポイントになっているのだろう。
2.4でこれだけ走れば、30馬力アップの2.4iは大いに期待できる。事実、S40・2.4iの走行フィールは、FFスポーツサルーンとして魅力十分。T-5と比べると50馬力ダウンとなるが、実際にはそれほどの差が感じられないパワフル感を発揮する。Dレンジフル加速では6200〜6400回転でシフトアップ。Dレンジのままでも、力強く不足ない加速レスポンスをもたらしてくれる。山道では、不用意にキッグダウンされることなく、スムーズ快調なる走りが楽しめるのだからイメージは高まるばかり。 |
S40と比べるとV50はマイルドな印象 |
8.5kg/馬力は、ライバルのBMW320iと同等。この優れたパワーウエイトレシオが、2.4iのパワフルさのポイントなのだろう。2.4とギヤリングが共通の5速ATは、ナイスプログラミング。エンジンとのマッチングは言うことなしだ。もちろん、5速ATをシーケンシャル操作すれば、スポーツ性は一段とアップ。各ギヤホールドタイプだけに、走りにうるさいスポーツ派も、大いに楽しめることだろう。V50・2.4よりエンジン音が耳につかないのは、3ボックスの強みか。
従来車と比べ、ボディ剛性は格段に向上。ねじれ剛性は、S40が68%、V50が34%アップ。それはフットワーク面でも明らかだ。とくにS40は、2.8回転のパワステを切った瞬間から剛性面での優位性を感じさせる。ハンドリングはなかなかクイックで、手ごたえたしか。全体のバランスもよく、ワインディングロードでは心おきなくハイパフォーマンスぶりを発揮する。ブレーキング、コーナリング、加速と一体感があり、かつコントローラブルなところがよい。スタビリティばかりか、だれにでも扱いやすいのが魅力だ。
一方、V50はマイルド。S40と比べると、パワステは切り始めに若干のダルさがあり、一体感やダイレクト感が見劣りする。が、ロードホールディング自体はなかなか。サスストロークを十分にとってのねばり腰で、4輪がしっかり路面をとらえたグリップ感がよい。ロールは小さいとはいえないが、体感的にはさほど気にならず安定性も高い。クセのないハンドリングに加え、マイルドな乗り心地が、ワゴンとしての価値を高める。従来車より格段に能力上位でプレミアム。そこがV50の魅力だ。 |
(文●横越光廣 写真●犬塚直樹) |
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●4ドアサルーンとしての要件を満たしたうえでの流れるようなルーフラインは、サルーンというよりクーペ。このプロポーションには、ゾクっとさせられる。ドアが内側に湾曲したほかのボルボ車とは異なり、凸面形状を成す。が、どこから見ても、ボルボだとわかる。 |
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●V50は、従来車比で全幅×全高が50×20mm拡大(S40は全幅×全高が50×30mm拡大)。ホイールベースとトレッドはそれぞれ80mm、前65/後55mm拡大(こちらはS40も同様)。 |
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●レザーシートは、ソフトタッチでサポート性上々。運転席は電動8ウェイ。テレスコ&チルトステアリングと相まってポジションもバッチリ。(写真はV50 2.4i) |
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●後席は、S40&V50ともに、ヘッド&レッグスペースともにゆとり十分。ただ、前席のレールが足先のスペースを制限しているのが残念。(写真はV50 2.4i) |
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●ダッシュ正面左に位置するイグニッションスイッチは、事故時にヒザをキズつけない心配り。北欧的なモダンデザインの室内は、厚さ25mmのフリーフローティング・センタースタックで、圧迫感がなく開放的。インパネデザインはS40&V50共通。 |
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●V50のラゲッジルームは、各所に工夫が凝らされ使い勝手がよい。床は低くてフラット。荷物の出し入れがしやすい。むろん後席はアレンジ多彩で、完全フラット化もOK。容量は417〜1307Lと十分。 |
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●S40のリンク式トランクリッドは垂直近くまで開き、バンパーレベルの低床で荷物の出し入れがラク。容量は404L。6対4分割可倒とトランクスルーを装備。 |
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●横置き直列5気筒DOHCは、マツダが腕をふるって大幅にコンパクト化。その分を安全面の向上に繋げている。ボア×ストロークは83.0×90.0mmのトルク重視型。連続可変バルタイの採用で全域スムーズ。(写真はV50 2.4) |
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■ディープブルー ■パッションレッド ■シルバーメタリック
■ドーンブルーパール ■ブラックサファイアメタリック
※S40/V50ともにほか1色あり |
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フロント構造にはいくつかのクランブルゾーンを設ける。衝突時に各ゾーンがそれぞれ異なる役割を担い、キャビンに近づくにしたがってストレスが他方向に分散される。ポイントとなるフロントの3レッグサポートと強固な台形構造は、ボルボの新特許。また、エンジンのコンパクト化により、エンジンまわりの有効クランブルゾーンは200mmも広げられた。主要メンバーに強度の違う4種類の高張力鋼板を組み合わせて、衝突エネルギーを分散するなど、積極的な安全対策は特筆もの。 |
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