往年のP1800ESや、かつての480の血統を引き継ぐC30は、個性的なスタイルやキャラクターが支持されて日本でもヒット。そこで少しひっかかるのは、S40との違いが少ないフロントデザインだったが……2010年モデルではそこにメスが入った。ごらんのように、新しい顔はXC60や次期S60の流れを汲むもので、印象はより個性的に、さらにスポーティに変身した。
加えて、中身にもきちんと改良のメスが入っている。自然吸気2Lの2.0eの場合は、洗練度を大きく高めたパワーシフトが注目のポイント。従来型で気になったDからRレンジへの切り替えラグや、発進や微速での半クラッチのギクシャク感がほぼ解消されたのだ。日常運転の快適性が目に見えて向上したのだからうれしい。
そして、230馬力/32.6kgmのパワフルな2.5Lターボを積むT5 Rデザインの場合は、サスの見直しが最大の注目点。従来型スポーツサスは、切れのいいフットワークの代償としてハードな乗り心地を受け入れなければならなかったが、新型は走りと快適性のバランスが大きく向上している。18インチタイヤを履くのに、直接的なゴツつきやブルブル感を伝えず、高速域では2.0e以上にフラットかつ快適な乗り心地を提供してくれるのだからお見事だ。
となると、操縦安定性の低下が心配だが……。じつは、サスはバネレート、減衰力ともむしろ強化されている。それが、レスポンスを10%高めた専用チューンステアリングと相まって、正確なハンドリングとビシッとした高速安定性を実現するカギになっている。ターボパワーにものを言わせた走りが、いちだんと爽快に、刺激的に進化したのだからうれしい。乗り心地改善はフリクション低減の効果が大。きれいに動く足は、操安性にも、乗り心地にも貢献している。
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