2012年の春、新たに生まれ変わったザ・ビートル。それまでのニュービートルは、今でいう“ゆるキャラ”として人気を博したが、ザ・ビートルは一転し、ちょっとクラシカルな成分もミックスした、大人のモデルに昇華。ルックスだけじゃなく、走りもグッと硬派なものになり、VWらしいものとなっている。
そんなわけで、ザ・ビートルにスポーツモデル「ターボ」が追加されたのは必然の流れだと言える。心臓部に積まれるのは、なんと先代GTIと同じ2L直4ターボ+6速DSG。最高出力211馬力、最大トルク28.6kg mという圧倒的な数値を誇る。まさにザ・ビートルのGTIと言えるほど硬派な仕様なのだ。
ルックスは、ブラックのドアミラー、サイドスカート、リヤスポイラー&ディフューザー、ツインエキゾーストパイプを装着。ただ見た目の印象は、さりげなくスポーティという程度。オリジナルのデザインを壊してしまう演出はなされていないので安心してほしい。室内に目を転じてみると、スポーツシートやアルミ調ペダルが与えられ、フレッシュな雰囲気を演出している。ザ・ビートルという世界観を保ちつつ、ノーマルとの差別化はしっかり感じられる。
実際に乗ってみると、まず感じるのがVWらしい重厚感。これはノーマル仕様でも感じたが、強力な心臓が与えられたターボでも、まったく持て余す様子は見せない。そして、低回転から沸き上がる強力なトルクで、弾け飛ぶような加速を披露してくれる。速度を上げても、4輪独立のサスペンションは路面をしっかりとホールディング。先代にもターボが存在したが、それとはまるで別物。デフロック(XDS)も装備されるので、鋭いコーナーもお手の物だ。
気になる価格だが、ゴルフGTIの369万円に対し、こちらは348万円と20万円安い。最新のGTIも魅力的だが、スペシャルティな雰囲気に満ちたターボは、スポーツカーファンを大いに悩ませるに違いない。
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