前から見るとまるでフルチェンジ。内装も新鮮な印象だが、後方から見れば……。今回の変更がビッグ・マイチェンだと判明する。ゴルフVからYの進化は基本プラットフォームを流用する手法だから、大がかりな手術は不要だったわけだ。
でも、変わったのは内外装だけではない。カギを握るのは快適性。静粛性が全般に向上し、乗り心地のゴツつき感やロードノイズが低減されたのがわかる。進化は1.4Lターボを積むTSIトレンドラインでも、2Lターボを積む2.0TSIスポーツラインでも実感できたから、走りの上質感の進化が新型の注目点であることは間違いない。
そもそもゴルフヴァリアントは完成度の高いクルマ。ベースのトレンドラインでも、2Lクラスに匹敵する力強い走りを発揮し、エコ性能とのバランス点も高いのだから、快適性の向上で魅力が一段と増したことになる。また、ハンドリングの正確性や、高速域の安定性もレベルは高い。ゴルフに期待する走りのしっかり感をきっちり実現しているといえば、実力のほどがわかるだろう。
1.4L TSIと乾式クラッチを使う7速DSGのコンビに関しては、微速でのアクセルのオン・オフでギクシャクするクセが少し残るが、全体の洗練度は元祖のVWらしく優れている。自動変速のスムーズさはトルコン式ATに迫るものだ。
そして、従来どおり3つの個性をそろえる点にも注目したい。トレンドラインの魅力は、なんと言ってもコストバリューの高さ。上級のスポーツラインはその名のとおり、パワフルな走りと、スポーツサス+17インチが生むビシッとしたフットワークで走り好きを引きつける。で、その間に位置するコンフォートラインは、1.4LツインチャージャーTSIが実現する余裕の走りと充実した装備が魅力。どれを選んでも高い満足度を約束する。
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