ゴルフのRシリーズ・モデルは、W&Xの時代は3.2L狭角V6を積むR32だった。で、その後に登場したのが、新世代の3.6L V6を心臓とするパサートR36。こうした流れから、ゴルフYではR36の登場を有力視する声があった。でも、VWが用意していたのは異なる回答。2Lの4気筒TSIユニットを積む、新しい時代の「最速ゴルフ」が、ゴルフRのネーミングで投入された。
というと、多くの人はGTIを母体とする強化版を想像するかも。だが2L TSIでも、ゴルフRの心臓は実績のあるEA113ベースで、オンデマンド式電制4WDの4モーションを組み合わせる点も含めて、成り立ちはGTIとは別物だ。
では、自然吸気V6から、4気筒直噴ターボへとエンジンをダウンサイジングしたゴルフRの実力は?1500回転以下の応答はさすがに鈍いが、2000回転を超えるとピックアップは鋭くなり、2500回転を超えると猛然とダッシュを開始。その勢いはレブリミッターが作動する6800回転ほどまで続き、刺激的な速さで満たしてくれる。最高速は250km/hに達し、0→100km/h加速はR32より0.7秒も速い5.5秒といえば、パフォーマンスの着実な進化を納得してもらえるはずだ。
でも、シャシー性能の進化はそれ以上。R32より60kg軽い車重、より強くなったボディ、進化した足や電制LSDが相乗効果を生み、さらにキレのいいハンドリングと、惚れ惚れするほどの高速スタビリティをもたらす。加えて、可変サスを核とするDCCが標準のゴルフRは、コンフォートモードを選べば低速域や荒れた路面でも快適な乗り心地を提供してくれる。その快適度はGTI(こちらは18インチ+DCCはオプション)より上だから、日常ユースも苦にしない。新しい世代となり、ゴルフのRは万能度に磨きがかかった。
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