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VOLKSWAGEN GOLF GT TSI |
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■発表 2007・1 |
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ツインチャージャー搭載のエンジン
その完成度にただただ感服するのみ |
1.4Lをスーパーチャージャーとターボで過給する意欲的なパワーユニット
そのフィーリングは排気量を超えるパワフルさと自然吸気の滑らかさを兼ね備えていた
走りの質感もすこぶる高く、ゴルフにとってはGTI以来の注目グレードだ! |
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試乗インプレでおなじみの箱根ターンパイクは、最大10%という急な勾配で山頂まで一気に駆け上がる高速ワインディング。大排気量車にはうってつけのコースだが、小排気量車では勾配にトルクが負け、速度が上がらないというジレンマに悩まされることが多い。はたしてゴルフGT・TSIは、どんな走りを披露したのか?
なんと、DSGの自動変速は5&6速ギヤをセレクト。6速でも失速することはなく、5速では不満のない加速が得られるのだから驚いてしまった! 1.4Lという排気量はまるで意識の外。170馬力/24・5kgmのスペックが示すとおり、実力は2.4Lと同等か、それ以上のものと考えていい。
事実、最高速218km/h、0→100km/h加速7.7秒のパフォーマンスは、2L FSI搭載車(6速AT)の205馬力/h&9.5秒(データはいずれもドイツ仕様)を大きく上まわるものなのだ。
1.4Lの素顔を見せるのはアイドリング付近のボトムエンドだけ。スーパーチャージャー(SC)の過給は、発進や低速走行の場面でも瞬時に立ち上がり、DSGがボトムを使わないような賢い変速制御を行うため、走りの印象はとにかく力強い。そして、高速域ではターボが威力を発揮。クルージングのゆとりや快適性も2L FSIを上まわるレベルで、ここでも走りの感覚は2.4Lクラスと言える。
で、走りの力感以上に感心するのは過給制御の巧みさ。SC+ターボのツインチャージャー方式といえば、88年に日産がマーチRで実用化した例(あとはランチア・デルタS4だけ)があるが、当時の技術レベルでは過給の段つきが解消できずに苦労していた。ところが、TSIユニットはとにかく自然で、SCの発するノイズもごく小さい。高負荷時に聞こえるタービン音にさえ気づかなければ、「これは自然吸気の2.4L」と言われても信じ込んでしまうだろう。
さすがは06年エンジンオブザイヤーの「ベストニューエンジン」に輝いた傑作。完成度は驚くほど高い。ガソリンエンジンの効率化(10・15モード燃費は1.6&2L FSIを超える14・0km/L)と、小型・軽量化(重量は2L FSIと同等)を加速させるTSIテクノロジーを、VWはこれから積極的に推進する計画だ。
また、GT・TSIにはもうひとつの大きな魅力も備わっている。それはスポーティさ。スポーツサスと17インチタイヤがもたらすフットワークは、GLiよりずっと正確かつシャープで、操る楽しさでGTIに迫る。低速域の乗り心地は少し硬めだが、速度を上げるとフラットライドになっていくから、ファンには「ドイツ車らしい」と好感を持たれるだろう 。
加えて、GTI風のフロントバンパーや専用グリルも標準装備。この濃密な内容で、旧GT(2L FSI+6速AT)比3万円高の305万円の設定はハッキリ言って安い! 日本では「排気量=車格」の概念が根強いが、TSIはそんな古くさい考え方を打破する起爆剤になるはず。ハイテク好きや、エコロジー志向派の大きな関心も集める存在になるだろう。
なお、ゴルフのあとに控えているのは140馬力仕様のTSIを積むトゥーラン。乞うご期待だ。 |
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●20mmローダウンのスポーツサスと組みあわされるのは、225/45R17タイヤと、GTI用よりリム幅が0.5ナローな7J×17サイズのアルミホイールだ。 |
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●専用ファブリックパターンのフロントスポーツシートを標準装備。高Gのコーナリングでもしっかりと体を支えてくれる。言うまでもないが、ゴルフVのキャビンの広さ、居心地のよさは申し分のないレベル。インテリア全体の質感も高く、すべての乗員にくつろぎと満足感を提供する。 |
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●VW自慢のダブルクラッチ式オートメーテッド6速MTのDSGを搭載。パドルシフトも標準だ。変速の早さ、緻密さは感動の域にある! |
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●水温計の代わりに組み込まれるのは……2L FSIターボを積むGTIにも装備されないブースト計。アクセル操作にリニアに連動する針の動きが、ツインチャージャーの過給効率の高さ、応答性の鋭さを物語る。インパネやドア内張りの加飾トリムはオリジナルの光沢ブラック仕上げ。GTIと共通のアルミ加飾付きレザーステアリングを標準装備する。 |
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●後席は分割可倒タイプ。荷室容量は定員乗車時350L、2人乗車時1305Lと十二分なもので、ワゴンに迫る積載性と多用途性を備えている。 |
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●2つの過給機と、それを高度に連携させる複雑なメカニズムが樹脂カバーの下に隠れている。最大2.5バールの高過給圧や121馬力/Lの高出力、レブリミット7000回転の要件を満たすため、強度に優れた鋳鉄製ブロック、鍛造クランクシャフト、ナトリウム封入排気バルブなどのメカを採用する。TSIはまさしく、VWの技術の粋を集めた次世代ガソリンユニットなのだ。 |
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□キャンディ・ホワイト ■ブラックマジック・パールエフェクト ■シャドーブルー・メタリック
■ユナイテッドグレー・メタリック ■トルネード・レッド ■リフレックス・シルバーメタリック
■ブルーグラファイト・パールエフェクト |
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省燃費とパワーを両立させたツインチャージャー
機械式SCは低回転からの過給が可能な反面、中高回転域では駆動ロスや騒音が大きくなってしまう。対するターボは、中高回転域の過給効率に優れる反面、排気エネルギーが小さな低回転域では十分な過給が行えず、応答遅れ(ラグ)も大きい。TSIは、特性の異なるそれら2つの過給機を、状況により切り替えて使うハイテク機なのだ。2400回転までは主にSCの守備範囲で、3500回転から上はターボが単独で作動。その間のつなぎのゾーンでは高度な使い分けと制御が行われる。右の図を見れば、TSIの全域高トルクの性能特性がイメージできるはず。 |
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