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Saab 9-5Estate |
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■発表 2006・4 |
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感覚的に明確な主張がある
その個性こそが“サーブ”だ |
航空機メーカーとしてのテクノロジーと
スピリットが息づくサーブのクルマ造り
その9-5が06年モデルとして一段と洗練された |
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エステートのラインアップは3種 |
ビッグマイナーチェンジされたサーブ9ー5の06年モデルは、よりスマートにフェイスリフト、内面的にもプレミアム感を増した。エステートシリーズのバリエーションは、セダンの2タイプに対して、リニア、アーク、エアロの3タイプ。セダンには、ベーシックな2Lモデルがラインアップされていない。
今回試乗したのはエステートエアロだが、ある意味でもっともサーブらしいモデルといえるかも知れない。ターボエンジンのパワーは、リニアの150馬力、アークの185馬力に対し260馬力。サーブのトップモデルにふさわしい力強さを備えているからだ。実際、そのパワフル感はアクセルを踏み込めば体感できる。速いことはもちろんだが、シャープさというより、底力にものをいわせて突っ走るというフィールなのだ。
ある意味でターボらしいといえばターボらしい。デリケートなアクセルワークに対してよりも、オン・オフ時のわかりやすい加速性が特徴的だ。ケースによる若干のタイムラグを嫌うか、結果的にそれが力強さの基となるサーブらしさとしてポジティブにとらえるかで、感じ方が変わってくる。
かつての9ー5最強車よりもマイルドになっていることは確かだが、スポーツ性が自慢の他メーカーのパワフルワゴンと比べると、レスポンス面ではそこそこレベル。にもかかわらず、フル加速して強いインパクトを感じるのは、けっしてワイルドというひと言では言いつくせない逞しき力感によるためだ。それを白か黒かと問われれば、そのどちらとも明確には言い切れない。事前に何も知らされず、あるクルマにいきなり乗ってどうかと問われたとしよう。未完のモデルは当然不可だし、スポーツ性自慢のモデルも数多くはあっても、感覚的に明確な主張がある個性派は少ない。9ー5エステート・エアロは、それとわかる1台である。 |
重厚な乗り味が9ー5らしい |
エアロでの高速クルージングは快適で、余裕しゃくしゃくだ。100km/hは5速2000、4速2700、3速4000回転たらず。アクセル操作に応じ、たしかな加速性がもたらされる。イメージ的には重巡洋艦のごとしだ。このエステートでなら、高速路を利用したロングツーリングはお手のもののはずである。
余裕をもって高速道路を流した後は、アップダウンのあるワインディングロードでの走りだ。エアロは、ダンパー、スプリング、スタビライザーバーのセッティングなどを見直し、乗り心地とハンドリングのバランスが高められた。ESP、ABS、TCS、EBDなどの安全デバイスは全モデルに標準装備というから頼もしい。
2.8回転のパワステは、切り始めこそダルな感じはするが、トータル的にはよい手ごたえをもたらす。乗り味は重厚感があって、郊外路を悠然と走るには絶好。そんなシチュエーションでこそ、9ー5エステート・エアロの本領が発揮される。サスペンションはソフトめで、乗り心地はマイルドだ。
その一方、ワインディングロードをアグレッシブに走ったりすると、それまでとは違った一面を見せる。加速フィールと併せ、その走りっぷりはなかなかの迫力。加減速時のリフト/ダイブが大きいことも影響している。ていねいに操れば、このクルマならではのよさが発揮される。 |
文●横越光廣 写真●柳田由人 |
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古典的だった9-5が、見るからに現代的に洗練された。伝統の3ポットグリルは新デザインとなり、空力性を高めるためのラウンド形状が強調されている。バンパーやテールランプのデザインなども新しくなり、全体にスマートになった。 |
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低いロングノーズに、前後のオーバーハングの長さと、古典的なイメージをたたえる。9ー3と比べると全長×全幅はプラス105×35mmとなるが、全高は何とマイナス45mmとなる。 |
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エアロ専用のスポーツ・レザーシートは、けっこうソフトな感触で座り心地は高級感満点。ほどよく沈み込み、サポート性もなかなかだ。 |
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後席は、いってみれば高級リビングのソファー感覚。ソフトタッチで形状を含め快適感が心地よい。もちろん、スペース的にも余裕十分だ。 |
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新コンセプトは「ブラックルーム・インテリア」。よりスポーティかつモダンに仕上げられた。テレスコ&チルト・ステアリングは、エアロ専用のレザーでスポーティな手触り。パドルシフトも魅力のひとつで、右がアップ、左がダウンだ。 |
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エステートというだけに、荷室は広々としていて使い勝手がよい。60対40分割式の後席を折り畳めば、それこそスペースは広大。アンダーボックスなど利便性も高い。 |
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9-5シリーズのエンジンは、すべてターボを装備。ベーシックなリニアは2Lの150馬力、アークは2.3Lで185馬力。最強のエアロは過給圧を高め260馬力を発する。ボア×ストロークは90.0×90.0mmのスクエアだ。 |
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■フュージョンブルー ■ジェットブラック ■シルバー
■レーザーレッド ■アーバーグリーン □ポーラホワイト
※ほか6色あり |
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サーブはかつての航空機メーカーとしての信念を今なお失ってはいない。それは、いろいろなところに生かされている。夜間、不要な照明部分を消せるナイトパネルもそのひとつだし、頑として守り続けるコンソール上のイグニッションスイッチにも共鳴できる。シンプルなマップランプも機能的。 |
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