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RENAULT LUTECIA |
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■発表 2006・03 |
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ひとまわり大きくなったボディは
より快適な室内空間を実現する |
ヨーロッパで欧州カー・オブ・ザ・イヤーを獲得
ボディ拡大、静粛性をアップするなどで高級感を高めながら
ルノーファンを裏切らない扱いやすさと乗り心地をもつ |
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欧州の最高評価をひっさげて上陸! |
長い歴史と高い権威を持つ欧州カー・オブ・ザ・イヤーは、「クルマのオリンピック」といってもいい存在。その06年イヤーカーに輝いたのは……3代目ルーテシア(現地名クリオ)。91年の初代に次ぐ2度目の金メダルで、ルーテシアはまさしく欧州Bセグメントを代表するモデルになった。
では、さっそく欧州ナンバー1の実力を検証してみよう。まず目を引くのは、ひとまわり大きくなったボディと、それに伴い大幅に向上した実用性だ。Bセグとしては小柄な先代は後席や荷室が狭く、実用面で不満を覚えるシーンも少なくなかっただけに、これは多くの人に歓迎されるはず。新型の室内空間なら大柄な4人が無理なく乗車できる。
加えて、目を見張るほど向上したインテリアの質感や、クラストップレベルを実現したという静粛性も、ルーテシアの成長を印象づけるポイントだ。Bセグの高級化は世界のトレンドとなっているのだが、ルノーも確実にその潮流に乗っているわけ。この出来なら、先代メガーヌのユーザーも十分に吸収できそうだ。逆に「大きくなりすぎた」と反発するファンは、次期トゥインゴの上陸を待つことになるのだろう。
ちなみに、基本となる車台はルノー・日産Bプラットフォームを採用。つまり、マーチやキューブの兄弟にあたるのだが……じつは共用部分はエンジンコンパートメントやセンター部までの骨格にかぎられる。センターフロアはルノー専用(日本未導入のモデュスと共用)、リヤフロアやリヤサスはルーテシア専用の設計で、オリジナリティは十二分に保たれているのだ。その事実を知れば、ルノーファンやフランス車好きも、「ほっ」とひと安心するに違いない。 |
シャシーはしなやかと
したたかを兼備する |
では、走りの実力は? サイズの成長、安全性の強化、装備の充実などで車重は先代RXTから130kgも増加したが、ルーテシアの走りは変わらず元気だ。そこで見逃せないのは、98馬力/13・0kgmの1.4Lから112馬力/15・4kgmの1.6Lへの心臓強化。
右足に力を込めればATでも流れをリードでき、MTならスポーティ走行だって楽しめる。静粛性改善との相乗効果で、走りの質感が大きく向上したのもうれしいところだ。電子制御4速ATの“AL4”の変速のクセも改善傾向にあり、バランス点は確実に引き上げられている。
乗り心地に関しては、初対面のときには「硬め」と感じたが……走行距離が進んだ2度目の試乗時には足の突っ張り感が消えていたので思わずニンマリ。荒れた路面でのごつごつ感の少なさや、うねりのいなし方の見事さは、ルノーに対する期待を裏切らない。
それでいて、超のつく高速域でもきちんと安定し、峠道では正確かつファンな操縦性と高度な安心感を提供してくれるのだから、シャシーの能力は高い。が、注文もある。それは電動パワステのフィール。ルノーが採用するアクティブリターン制御は、強制的に中立に戻される印象で、操舵感や保舵感に不自然さを残す。そこさえ改善されれば「太鼓判」が押せる。
本国発売から半年以内の素早い導入や、高い競争力を持つ価格設定は、ルノー・ジャポンの「やる気」の証明。年内導入が予定されるルノースポール2.0や1.2クイックシフトを含めて、ルーテシアの楽しみは今後も盛りだくさん! |
文●森口将之 写真●菊池貴之 |
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●小粋でハイセンスなスタイルは、約6年で484万台あまりを送り出した先代の正常進化版といった印象。ロングホイールベース&ワイドトレッドが生み出す安定感あるフォルムと、表情豊かな面構成が目を引くポイントだ。もちろん3ドアも設定。そのスタイルはさらに軽快&スポーティな仕上がりだ。 |
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●ホイールベースを100mm、全長を180mm、全幅を80mm、全高を65mm拡大。3代目は立派になった。だが最小回転半径は5.4から5.1mに縮小。扱いやすさは健在だ。 |
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●横方向や頭上のゆとりが大幅に拡大。ステアリング調整はチルトのみで、テレスコピック機能がないのが惜しい。 |
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●家族ユースにも応える居住性を持つ。シートの掛け心地もBセグの松レベルで、中央にも3点式ベルトを完備。 |
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●ソフトな触感のダッシュ上面、手触りのいい本革巻きステアリング&シフトノブや、ルックスを引き締めるアルミ調トリムの採用に代表されるように、インテリアはクラスを超えたクオリティを追求。内装は上質なグレー系でまとめている。 |
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●後席は6:4分割のダブルフォールディング式。荷室容量は5人乗車で288L、2人乗車で最大1038Lと十分。 |
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●滑らかな回転フィールと、実用域の高い静粛性が魅力の1.6LDOHC16バルブ。高回転域ではノイズと振動が高まるが、そこまで回さなくても元気な走りが楽しめる。ミッションは4速ATと5速MT(注文生産)を設定。 |
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■ボルケーノ・レッドM ■ロワ・ブルー ■ライト・グリーンM ■オータム・イエローM
※ほか9色あり
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新型ルーテシアを含む8つのモデルで、ルノーはユーロNCAP最高水準の5つ星を獲得。ライバルを確実にリードする実績で「安全といえばルノー」のイメージを確立した。3代目は最新の衝突安全ボディを基本に、6つ(3ドアはアンチサブマリンを含む8つ)のエアバッグと新セーフティヘッドレスト、可倒式ステアリングコラムなどを導入。備えは万全だ。 |
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