2010年に登場したプジョーのFWDスポーツカーがRCZである。まるでミッドシップスポーツのようなロー&ワイドなプロポーションと、ルーフに設けられた二つのコブ「ダブルバブルルーフ」が大きな見どころ。さらにその曲面がリヤウインドウにまで繋がることで、非常にオリジナリティの高いデザインが生まれている。まさに美の革命である。
そんなRCZがこの度マイナーチェンジを受け、デザインがリニューアルされた。今回の改良では、チャームポイントであるルーフはそのまま残しつつも、フロントフェイスを208や508と同様に最新のプジョーフェイスへと変更。また左ハンドル車に標準装着される19インチアルミホイールのデザインが変更されたほか、室内のドアパネル部にステッチ入りのレザートリムが追加されたり、コンソール部の仕立てが変更されるなど、内外装を中心にリフレッシュした。なお、メカニズムはそのままである。
さて、改めてRCZに乗ってみると、着座位置が低くてタイトなコックピットは、正真正銘スポーツカーだと感じる。ラインアップは156馬力の右ハンドルと200馬力の左ハンドルを設定するが、試乗したのは前者。このマイナーチェンジで、右ハンドル車にもエンジン音をスポーティに響かせる「サウンドシステム」が採用されたことで、アクセルを踏み込む度にじつに官能的なサウンドが室内にも響き渡る。少し固めのサスペンションも、スピードが上がるにつれてスムーズに動いてくれる。なにより低重心のボディの恩恵で、コーナーリングでの安定感はハッチバック系よりも格段に高い。
RCZに乗ると、すでに登場済みの208GTiとともに、プジョーのスポーツカー市場への本気度がひしひしと伝わってくる。ところで今秋のフランクフルトショーでは、高性能版RCZ Rも発表予定。プジョースポーツの今後の展開にも目が離せないのだ。
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