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PEUGEOT Coupe 407 |
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■発表 2006・7 |
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造りが大きく進化したクーペ407
人気だった406クーペを超えられるか |
流麗、優雅、かつエモーショナルなデザインで人気のあった406クーペ……
その後継となるクーペ407は、すべてにおいて厳しい目に晒されるだろう
しかし、その出来映えは、みごとハンデに立ち向かえるものだった |
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ピニンファリーナ・デザインのカンペキなプロポーションで僕たちを魅了し続けてきたプジョー406クーペが、クーペ407にスイッチした。407クーペと名乗らなかったのは、先代を超えるクルマにしたいという強い意志の現れだという。
今度はスティル・プジョーと呼ばれる社内デザインスタジオの作。ということでまずはカタチが気になるところだが、フロントまわりはセダンやSWの407に似た肉食動物系の顔つきであるものの、キャビンからリヤにかけては406クーペの雰囲気を残しつつ、モダンに仕立てた感じ。それだけ先代は偉大だったということなのだろうか。
インパネをほかの407と共用しつつ、シートやドアトリムを専用としたキャビンの仕立てかたは、406クーペと似ている。でもシートと同じレザーやアルミパネルをインパネやドアトリムにおごったおかげで、さらにエレガントでドレッシーな空間になった。セダンやSWよりワンランク上のクルマに感じるほどだ。
日本仕様のエンジンは406クーペの後期型と基本的に同じ、可変バルブタイミングシステムを備えた3L V6。でもATが4速から6速にバージョンアップしたから、加速は別物だ。
車重は160kgも重くなったというのに、発進や追い越し加速のレスポンスがはっきり鋭くなっている。さらにこのエンジンは、3500回転以上で心地よいサウンドとともに吹け上がりが勢いづくというスポーティな性格なのだが、ギヤが増えたことで高回転の心地よさを積極的に味わえるようになった。
もちろんこれは、同じパワートレインを積むセダン/SWの407V6にも当てはまる。でも、それより低い位置に座り、大きく寝たフロントウインドウと低いルーフに囲まれていると、マニュアルモードを積極的に使って、速く走ろうという気になるのだ。
サスペンションは、セダンやSWより低く固めてある。よって乗り心地は硬めだが、406クーペのように低速でビシビシくることはない。電子制御可変ショックアブソーバーが鋭いショックをうまくいなしてくれる。一方速度を上げると、同じ可変ショックを使うセダンやSWのV6よりフラット感がアップしていることがわかる。メカの熟成が進んだことで、大人っぽい乗り味を手に入れたといえばいいだろうか。
それでいてハンドリングは、クーペらしいスポーティなもの。硬めの足に加えて、セダンやSWとは逆にリヤのトレッドをフロントより広くしたことが効いて、ノーズの動きは軽快になり、立ち上がりでも自分からグイグイまわり込むように加速していける。
足を固め、リヤのトレッドを広げるというチューニングは、406クーペもやっていた。でもそれとひきかえに、低速の乗り心地はあまりエレガントとはいえなかった。しかもATが4速では、スポーティな足さばきを思いきり堪能しようという気には、なかなかなれなかった。クーペ407はそこが違う。セダンやSWとは違うこだわりのネコ足を、思いきり味わい尽くすことができるのだ。 |
文●森口将之 写真●菊池貴之 |
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●シートだけでなくインパネやドアトリムにまでレザーをおごり、そこにアルミパネルをあしらったインテリア。フロントシートはタイトなサポート感とやさしい座り心地を両立。ボディサイズ拡大のおかげで、406クーペよりリヤシートは広くなった。 |
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●ATはセダン/SWのV6に続き、ポルシェのティプトロニックシステムを装備したアイシンAW製6速を採用している。メーターは、セダン/SWとはまったく異なるクロノグラフ風のデザインになった。 |
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●トランク容量は400Lと、このクラスのクーペとしては広い。406クーペ同様、リヤシートは6対4分割でシートバックを倒すことにより、スペースを広げることが可能だ。 |
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●日本仕様のエンジンは406クーペから受け継がれた3L V6DOHC24バルブ。目立った改良は行われていないが、ATが4速から6速になったことで、発進・追い越し加速のレスポンスは劇的に向上。このエンジンが持つ高回転の心地よさを今度は積極的に楽しめるようになったのだ。 |
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●歴代プジョー車で最高のねじれ剛性を誇るクーペボディは、さらに上下2本の衝撃吸収フレームを持つ。大容量の助手席エアバッグやカーテンエアバッグなど、パッシブセーフティも高レベルだ。 |
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■アルミナム・グレー ■ゴールド・ホワイト ■モロカン・レッド
■モンテベロ・ブルー ■アレクサンドリア・ブルー ■オブシディアン・ブラック |
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進化した407の足まわり
低く、広くすることで個性を創出
フロントがダブルウイッシュボーン、リヤがマルチリンクというサスペンション形式は407セダン/SWと同じ。しかしクーペでは、前後ともにスプリングレートを10%アップし、フロント10mm、リヤ23mmのローダウンを実現した。さらにトレッドはフロント10mm、リヤを65mm広げることで、406クーペ同様、フロントよりリヤをややワイドにしている。 |
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