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MERCEDES-BENZ VIANO |
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■発表 2003・10 |
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ラグジュアリー・ミニバン界をゆるがすメルセデスの使者 |
Vシリーズから発展したビアノは、上級ミニバン界に焦点を絞り開発
自信を持って日本にのりこんできた意欲作だ
これで、上級ミニバン界はますますホットに |
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FR、7シーターのプレミアムミニバンに進化 |
低調なセダン系と反比例して、シェアを高めているのがミニバン系。なかでも97年に日産エルグランドがデビューして以来、高級ミニバンの伸びには目を見張る。今やこのクラスのマーケットこそが激戦区。国産車ばかりか、輸入車までがシェアを高めるのに本気だ。なかでも注目されるのが、メルセデスVクラスの後継たるビアノ。ひとまわりサイズアップして、FFをFR化。最小回転半径を0.4m短縮させ、シートを6座から7座へ変更するなど、格段に商品力を高めた。
エンジンは3.2L V6の1タイプだが、グレードはベーシックなトレンド、上級なアンビエンテ、全長が245mm長いアンビエンテ・ロングの3タイプで、4月時点のオーダーは20/30/50%という比率とのこと。クラスにもよるが、発売当初は上級車から売れるというのが日本でのパターンだ。
乗用車ベースで、ゼロから開発されたことにもメルセデスの力の入れ具合が感じとれる。それだけに、走行フィールには上質感がうかがえる。シリーズのなかでも、リヤがエアサスのアンビエンテ、そのロングモデルの乗り心地はマイルドかつフラットだ。腰高感もなく、3.6回転のパワステに、基本的には素直な挙動を見せることも評価できる。が、左右に小刻みなステアリングワークをしたりすると、リヤの追従性が悪くなり、乗り心地を含めて動きとフィールがギクシャクしてしまう。このときばかりは、テールのオーバーハングの長さに起因するかと深読みしてしまう。
一方、標準サス仕様のトレンドは、走行フィールがキビキビしている。ロールが若干大きめになるも、腰高感はなく、トータル的にはロングより一体感がある。少なくとも、ツイスティな山道ではそう感じた。オーバーハングが245mm長く、後部床下にスペアタイヤを積むロングとは重量配分が違う。当然のことながら、ショートボディとは走行フィールに違いが出ようというものだ。両車を比べれば、スペアタイヤの有無によるマフラー形状の違いからか、ノイズに差がある。耳に軽いロングのほうが、走行フィールを含め全般的にコンフォート。ショートボディはどちらかというと軽やかなフットワークで、若々しいイメージがある。 |
存在感満点
ヒットの予感 |
従来までのVシリーズが、2.3L直4と2.8L V6なのに対し、ビアノが搭載するのはE320アバンギャルドと同じ3.2L V6。パワーも143/174馬力から最高218馬力へと大幅にレベルアップ。サイズ/グレードアップによる重量増をカバーする。3.2L V6は、高回転までスムーズで、スポーティ感さえ味わえる。Dレンジフル加速では、6000回転レッドまで引っ張れ、なかなか元気。まして、5速ATをティップシフトすれば、スポーティ感も高まろうというもの。ショートストロークのため、手首の小さな操作で軽妙にシフトアップ/ダウンが可能なティップシフトを駆使していると、全高の高いミニバンだということを忘れてしまう。中高回転域の吹け上がりのスムーズさを加味すれば、Eクラス・アバンギャルドの世界がイメージされる。ビアノは、まぎれもなく運転が楽しめるドライバーズカーだということだ。
Dレンジホールドでも変速はスムーズで、静かに走れば上級感がフルに味わえる。少なくとも走りは、幅広いフィールドで余裕しゃくしゃくだしステータス性にうなずける。そもそも、この存在感は、だれにとっても断然なはずだ。
もちろん、高速クルージングもお手のもの。100km/hは、5速2400、4速3000、3速4400回転相当。仲間とレジャー道具を満載してのロングドライブもOK。高速道路やワインディングロード、市街地と、ビアノはオールラウンドで本領を発揮する快適ラグジュアリー・ミニバンといえるだろう。スリーポインテッドスターというブランドが後押しするだけに、ヒットの予感。 |
(文●横越光廣 写真●郡 大二郎) |
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●スタイリングに対するテーマは「先進的でシャープ」「圧倒的な存在感/格調あるスタイリング」。そのテーマがまさに具現化された。基本的にはシンプルだが、全体像にボリュームがあるだけに存在感は十分。堂々たるこのフォルムを前にしたら、注目せずにはいられない。 |
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●Vクラスに対し、全長×全幅×全高×ホイールベースは、ショートボディで85×20×10×200mmも拡大。大きく開く左右スライドドアは、操作力が重めでも重宝だ。 |
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●リヤのオーバーハングを245mm延ばしたのがロング。その分ショートボディに対し全長が長い。トレンドに対しアンビエントはルーフレール分、全高が30mmアップ。写真はロングとトレンド。オーバーハングの差がわかる。 |
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●着座位置が高めのシートは、適度な硬さをもつ。トレンドはベロアで、タッチはよいがサポート性はいまひとつ。本革のアンビエンテは電動式で、サポート性もよい。 |
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●フラットな床と多彩なアレンジが広々とした室内の魅力を高める。左右独立の2列目はスライド量が大きく、多機能で対座もOK。脱着可能だが29kgと重い。 |
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●ドアの開口面積が大きいだけに、3列目シートへの乗降はラクだ。十分な広さを持ち、ゆったり座れるのはさすが。左右独立の多機能で、脱着もできる。 |
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●高級志向といってもケバさはない。シンプルな上級感には好感が持てる。テレスコ&チルト機能のあるステアリングとシートなどの位置関係はまずまず。ポジションはいまひとつと感じた。三角窓は小さいながら有効。全方位ともに視界は良好。 |
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●オールアルミの3.2L V型6気筒は、140kgと軽量。シリンダー当たり吸気2/排気1の3バルブ・ダブルイグニッションを備えて高効率化。中高回転域での切れもなかなか。バランスシャフトを備え低振動化が図られる。 |
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□アークティク ホワイト ■カーボンブラック ■ジャスパーブルー
■インディーレッド ■ルガーノグレー ■ブリリアントシルバー |
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2/3名乗車の2/3列シートは、多機能で脱着を含め多彩なアレンジを見せる。それぞれの重量が重いのは、安全性を考慮してのことという。断然の広さを持つ荷室は430〜4500L、ロングは730〜5000Lにもおよぶ。これだけ広ければ申し分なし。 |
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