昨年、約7年ぶりに大幅マイナーチェンジが行われたSLクラスは、最高級ロードスターの威厳はそのままに、さらなる内容充実が図られている。
とくにフロントまわりの変更はインパクトが大きく、グリルは1954年に発表されたガルウィングモデル「300SL」から受け継がれる伝統的デザインを採用しながらも、最新メルセデスファミリーの一員であることが巧みにアピールされている。もちろん、そこはメルセデス。デザインだけではなく、この新しいヘッドライトには、照射をコントロールしなが
ら最適な視界を確保する「インテリジェントライトシステム」を装備。リヤまわりでも、急ブレーキ時にブレーキライトが点滅し後続車に伝える「アダプティブブレーキライト」を採用するなど、しっかりと安全性の向上が図られている。
試乗車両のSL350に搭載される3.5LV6DOHCエンジンは専用のチューニングが施され、従来の272馬力から314馬力へ44馬力アップ。シリーズ唯一のV6ならではのフロント部分の軽さと相まって、スポーティさが格段に向上している。
インテリアではCOMANDシステムの装備も嬉しいが、ハイライトは、なんといっても「エアスカーフ」。これは乗員の首まわりに温風を吹き出す機能で、シートヒーターとの併用でオープン時の快適性が圧倒的に向上している。
まさに大人のための最高級ロードスターであるSLクラス。このクルマの魅力は、その万能性の高さだろう。見た目はスポーツカーだが、ステアリングを握ると待っているのはサルーンとかわりない快適なドライビング環境……そう、普段はストレスを感じることなく気持ちよく走れ、その気になればポテンシャルを躊躇なく発揮する……この懐の深さこそがが、長きにわたり多くのファンの心をつかんでやまないのだ。
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