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Mercedes-Benz Rclass |
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■発表 2006・3 |
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「上質」「快適」にこだわった
グランド・スポーツ・ツアラー |
高級車から発想をした新種のクロスオーバー
サルーン、ワゴン、ミニバン、SUVの融合という
欲張りなコンセプトがRクラスを誕生させた |
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ビジョンGSTから発展した高級MPV |
新しいジャンルに積極的にチャレンジし、拡大戦略を推し進める近ごろのメルセデス。なかでも02年デトロイトショーに初お目見えした“ビジョンGST”は、「ついにメルセデスも3列シートか!」と大きな関心を集め、大いに期待感をあおったモデルだ。
GSTとはグランド・スポーツ・ツアラーの略。日米でミニバン、欧州でMPV(マルチ・パーパス・ビークル)と呼ばれる既存のモデルとの違いは、上質や快適へのこだわりの度合いにある。言うなれば、高級車から発想をした新種のクロスオーバー。そして……サルーン、ワゴン、ミニバン、そしてSUVの融合という欲張りなコンセプトは、Rクラスというカタチで見事に実を結んだ。
で、核心の技術的成り立ちに注目すれば、Rの母体になったのは新型Mクラス。プラットフォームやパワートレーンなどの基本メカを共有し、同じ北米工場で生産されている。ただしパッケージは別物。Rクラスのボディは長く、低い設定で、スタイリッシュフォルムの中に3列6人乗りの広いキャビンを確保したのが見どころだ。
日本に導入されたのは標準ボディの2タイプ。R350は272馬力の3.5L V6、R500は306馬力の5L V8を搭載する。両モデルとも、ミッションは7速AT、駆動方式はフルタイム4WD(4マチック)の組み合わせだ。 |
安心&快適が光る高速クルーズの能力 |
大きなボディに加えて、メカニズムや装備も充実したRクラスの車重は、350でも2170kgに達する。しかし、新世代V6と7Gトロニックのコンビネーションは見事で、発進から高速走行に至るまで一貫して力強い走りを提供してくれる。最高速230km/h、0→100km/h加速8.3秒の実力といえば、その速さとゆとりを想像することができるはずだ。
欲をいえば、エンジンにはより滑らか回転フィール、より上品な加速サウンドを望みたいが……豪快な加速感はたくましさを演出する個性と考えれば納得。クルージングの静粛性や洗練度は高度なレベルにあり、「メルセデスの高級MPV」への期待を裏切らない。
なら操縦安定性は? 4×4用17インチ65タイヤを標準装着することもあり、操舵に対する反応は全体に穏やか。でも、鈍重なわけではなく、高速&高G領域に至るまでしっかり、そして正確な動きを示すのはさすが。それが、高速クルーズの際立つ安心感と快適性を生み出すカギになっている。
ハンドルに手を添えているだけで自然に安定。「どこまででも走っていける」という感覚から思い浮かぶのは、Rクラスの原点といえる“グランド・スポーツ・ツアラー”のコンセプトだ。同じメルセデスの3列シートMPVでも、商用バンを母体とするビアノとは快適や安心の器がまるで違う。
ただし、低中速域ではリヤのあたりは硬めで、荒れた路面ではタイヤが少しバタつき気味。そこで足に注目すれば、R350はリヤのみエアサスだが、R500は前後に電制のAIRマチックサスを採用する。しなやかな乗り心地……より高度な走りと快適のバランスにこだわる人には、V8モデルが適任といえる。でも、R500は左ハンドルのみの設定だ。いずれにしても、メルセデスがいち早く高級MPV市場に参入したのは大きな話題。3列シート車大国の日本でRクラスがステイタスと人気を確立することは間違いない。 |
文●森野恭行 写真●柳田由人 |
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血縁のある新型Mクラスより……スタイルはむしろBクラスとの近似性が強い。低めの全高と、明確なウエッジラインを描くキャラクターラインが、躍動感やスポーティさを演出するポイントだ。3列シートとは思えないスタイリッシュさが光る。 |
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R350は235/65R17サイズの4×4用タイヤを標準装着。スポーティパッケージには255/50R19を装着。 |
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円をモチーフにした前後ランプがアクセント。3サイズは4930・1920・1660mm。ホイールベース&全長を235mm拡大したロング仕様も、欧米の市場には存在する。 |
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ヒップ&アイポイント設定は、セダンのEクラスとSUVのMクラスの中間。良好な見晴らし感と乗降性を両立。 |
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大柄なキャプテンシートを配置する2列目はRクラスの特等席といえる。最後端にセットすれば足元空間は広々。 |
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ゆったりとまではいえないが、標準ボディでも「大人6人でクルーズ」の要件を満たす。シートの掛け心地は良好。 |
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開放感と上質感が際立つ室内。ウォールナットウッドトリムや本革シート(前席電動)、電動チルト&テレスコステアリング、自動開閉テールゲートなどの装備は、R350には「ラグジュアリーパッケージ」としてオプション設定される。 |
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シフトレバーがなくなり、センターコンソール部のスペースをより有効に活用できるようになった。充実した小物収納レイアウト。 |
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小ぶりな電気式ATセレクター(ダイレクトセレクト)は、MクラスやSクラスでおなじみ。指先ひとつのスマートな操作が可能。 |
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自動開閉テールゲートはR500に標準、R350にパッケージオプションとして設定。ラゲッジフロア高は高め。 |
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新世代V6はDOHC4バルブヘッドを採用。3.5Lは272馬力/35.7kgmを発生する。Rクラスは7Gトロニック、常時4駆の4マチック(前後駆動力配分は50対50)、4WD用挙動安定化メカの4ESPをドッキング。 |
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□アラバスターホワイト ■オブシディアンブラック ■カーネリアンレッド
■トラベルティンベージュ ■キューバナイトシルバー ■ラズライトブルー
※ほか2色あり |
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6人乗車時の荷室容量は305L。しかし、左右分割式のサードシートはスマートに格納でき、たちまちラゲッジは869Lにまで拡大する。さらに2列目も折りたためば……長さ1982mm、容量1931Lの広く、フラットな荷室スペースが出現! 快適性だけでなく、ユーティリティのスケールもでかい。 |
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