楕円形の角型4灯ヘッドライトから角張ったイメージとなった現行Eクラス。それがデビューから4年が経ち、今年さらに進化を得た。今回のマイナーチェンジはそんなヘッドライトまわりの意匠変更と電子デバイスを中心とした安全装備の追加。“メルセデスらしく”人にやさしく仕上がったといった印象だ。
ではまずその顔だが、ライト部分が大きなヘッドライトカバーに覆われ2灯式となった。いうなれば、あのバブル期に売れたW124型以来の2灯。ただ、そこにはちゃんと新しさもある。ここ数年のトレンドとなるLEDポジションランプがモダンな雰囲気を漂わす。そんな変更の背景には今年登場の予定の新型Sクラスや、人気のCクラスの影響もあるだろう。
このほかのエクステリアデザインは、グリルにバンパー、それにサイドパネルもテールランプもけっこう細かく手が入っている。テールランプユニットの中身までちゃんと変更しているのがメルセデス流だ。
ただ、今回はマイナーチェンジなので内装までは大きく変更していない。アナログ時計もステアリング左側に位置するコラム式のシフトレバーもそのまま踏襲する。乗り換えても同じところにスイッチがあるのがメルセデスの哲学でもある。
次に電子デバイスだが、従来型以降世に出たモデルの技術やこれまであったものの進化版が多数積まれる。5つのレーダーセンサーとひとつのカメラから成り立つレーダーセーフティパッケージや、360度俯瞰でモニタリングできるカメラシステムなどがそれだ。どちらも広範囲でクルマ周辺を監視できるイマドキの安全装備となる。
またこれらを活かして、パーキングをサポートするアクティブパーキングアシストも装備された。しかも、縦列はもちろん、並列駐車までもシフトとアクセル操作だけで完璧にこなすから恐れ入る。並列駐車を実際に体験したが、目で見ても明らかに狭いところにピッタリ納まった。センサーの感度の高さもそうだが、自動操舵の動きもスムースで頼りがいを感じた。このほかにも安全装備は山ほどあるので、あとはカタログをご覧いただきたい。
そんなラインアップだが、スタンダードモデル8種類、AMGが4種類顔を連ねる。スタートプライスはE250の595万円で、ハイエンドはAMG S 4マティックの1780万円(セダン)という幅広い設定だ。注目はE400ハイブリッドと2L直4直噴ターボを積むE250。Eクラス初のハイブリッドとリーンバーン+ターボ+排ガス再循環を世界で初めて組み合わせたエンジンのパワーが興味をそそる。
で、実際走らせてもっとも印象的だったのはやはりその2Lモデル。「本当に2L?」と思えるほど力強く、Eクラスのボディを前へ押し出した。予想以上に低回転域からのトルクが頼もしかったのも驚いたが、スムースな吹け上がりと加速感には満足。しかも、V8やV6と比べエンジンが小さい分クルマの前部が軽く、ハンドリングが軽快になった気もする。おかげで試乗コースのワインディングを楽しく走ることができた。
ハイブリッドは至って上品な味付け。小刻みに変わるエネルギーソースに違和感はなく、すべてがオートマチックに行なわれる。エナジーフローディスプレイに表示される目まぐるしく変わるその状況を眺めていると、完成度の高さが伺える。その意味からも技術の進歩は、新型Eクラスの各部に散りばめられているのがわかった。
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