新型Eクラス(W212)の情報がいよいよ出まわってきたが、そんななか試乗した現行S211型ステーションワゴンは、まさしく熟成の域に達した魅力ある走りをみせてくれた。
メルセデスのステーションワゴンは、遡れば1978年のS123型からと、その歴史は長い。デビュー当初からその高いステイタス性と性能が評価され、続くS124、S210と王道ワゴンの名をほしいままにしている。そしてその魅力を、このS211も見事に継承している。
試乗したのは、そのなかでも注目度の高いE350CDIステーションワゴン・アバンギャルド。3LのV6ディーゼルターボは、なんと1600〜2400回転で最大トルクの55.1kgmを発揮。1.9トンのボディを、あっという間にグイグイと加速させていく。今回この試乗ページにディーゼルをチョイスしたのは、ワゴンというキャラクターに極めてマッチすると思ったからだ。経済的でありながら、このパフォーマンスなら定員乗車+荷物満載でも走りに不足を感じることはない。
実際、街乗り、高速、ワインディングと想定されるさまざまなシチュエーションで、E350CDIは実力を発揮してくれた。なかでも街乗りでの発進加速と、高速でのクルージングは素晴らしく、右足にそっと力を込めるだけで自在に車両をコントロールできる感じがたまらない。同グレードのセダンと比べると、ワゴンはリヤがどっしりと安定している印象で、これにはリヤのセルフレベリング付きのリヤサスの特性も関係しているのだろう。
Eクラスのステーションワゴンは、「それが頂点だから」という理由で選べる1台。これがセダンだと、SクラスやCLSの存在が気になってくるからだ。まさにキング・オブ・ワゴンといえるS211。他ブランドとの比較でも、その存在感は圧倒的だ。
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