プレミアムDセグメントの争いは、年を追うごとに激化。そこで世界販売に注目すると……08年からの3年間、トップシェアを獲得したのはCクラスだという。でも、メルセデスはまだ攻めの手を緩めない。2000カ所以上の改良を施してW204・Cクラスをリニューアルし、ライバルを引き離す目論見だ。
やはり、まず目を引くのはルックスの変化。全面にプッシュするのは一段と精悍になったアバンギャルド系で、スポーティーイメージを従来型以上に強調している。対照的に、ラグジュアリーな演出と充実の装備を特徴とする「エレガンス」は、グレードではなく、パッケージオプションとしての設定に変わった。
そして技術面のトピックは、これまでは6気筒モデル以上だった7速ATの設定が、新たに「7Gトロニックプラス」として直噴ターボの4気筒1.8Lを積むC200やC250にも拡大採用されたこと。
発進の力強さ、変速や加速のつながり、高速巡航やEモード走行における燃費改善、静粛性の向上と、5速から7速への進化はほとんどの面でプラス方向に働く。Eモードは経済性重視の変速制御のため、過給効果が期待できない1000回転半ばまでのゾーンを使う場面もあるが、その場合でも応答性は確保され、こもり音の発生も納得のレベルにある。
総合的に考えれば、ATの7速化でC200&250ブルーエフィシェンシーの魅力は大きく増したと言っていい。多くのモデルは「基準値+20%」の燃費も達成し、エコカー減税にも新たに対応している。
なお184馬力/27.5kgm仕様を積むC200と、204馬力/31.6kgm仕様を積むC250は、性能とフィーリング面に少なからぬ違いがある。スペックからわかるように、パワフルかつスポーティーな走り味(とくに中高回転域)を提供してくれるのはC250だ。でも、低回転におけるトルクのツキがよく、回転フィールが軽快で、サウンドににごりがないのはC200のほう。
つまり、フィーリングに優れるのはC200。パフォーマンス面も不満はないのだから、ボクとしては積極的にC200をお薦めしたい。
なら、シャシー性能はどう変わったのか? 9.5kgの減量を実現するアルミボンネットを導入するなど、新型の改良はさまざまなところにおよんでいる。当然、サス設定なども見直されているはず。そこでセダンC200アバンギャルド、同AMGスポーツパッケージ、ワゴンC250アバンギャルドを試すと、もっとも魅力を感じたのはセダンのAMGスポーツパッケージだった。
電制可変ダンパー、18インチタイヤ、クイックレシオステアリングを組み合わせた「ダイナミックハンドリングパッケージ」を標準化したこのモデルは、期待どおりの高度な安定性とキレのいいハンドリングを実現(とくにスポーツモード)。にもかかわらず、ノーマルモードではゴツつきを抑えた快適な乗り心地も両立させるのだから、満足度は高い。
対して、17インチタイヤを装着するノーマルのアバンギャルドは、前期最終型と比べると、低速域でのタイヤの上下入力がややきつく入るようになった印象がある。まだ新車の硬さが残っていた可能性が大だが、ちょっと気になるところではある。
また、走りの熟成以外で大きな進化を感じるのは、内装の質感向上やナビの進化。商品力は大幅に高まっている。さらには、直噴3.5L V6を積むC350や新作のクーペも登場待ちしているのだから、今後もCクラスから目を離すことができない。
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