6年ぶりの全面変更をして登場した2代目Bクラスは、欧州ではMPVにカテゴライズされるユーティリティ系のキャラクターを踏襲している。「使えるコンパクト」のコンセプトが、世界的に好評だったからだ。
しかし、コンセプト以外はガラリと変わった。エンジンやミッションはもとより、リヤにマルチリンク式を新採用したサスやプラットフォームも一新したのだから、「すべてが新しい」と言っても過言ではない。
そして、見た目の印象も大きく変わった。2重フロア構造をやめて、全高を低くしたことが最大の変化ポイントで、凛々しいマスクやクッキリしたキャラクターラインの採用とも相まって、これまでにないスポーティムードを醸し出している。
そんな新型に接して、まず気づくのは乗降性の改善。フロアが高い先代とは違い、すんなり乗り降りできるようになった。自然になったドラポジや拡大した頭上高も、パッケージ改革がもたらしたメリットだ。
また、質感の向上や装備の充実化も新型の自慢で、パーキングアシストリヤビューカメラや、クラス初のレーダー型衝突警告システム(CPA)までを全車標準としている。約30km/h以上で作動するCPAは、前走車や障害物と衝突する危険がある際に、ディスプレイと音で注意喚起するというもの。アダプティブブレーキアシストとの連携により、安全性を大幅に高める先進メカだ。
なら、自然吸気1.7L+CVTから、直噴ターボ1.6L+7速DCTに全面変更された心臓の実力は?
B180同士の比較で車重は70sほど増えたが、動力性能は満足できるレベルだ。116馬力/15.8kgmから122馬力/20.4kgmに性能が強化されたが、とくに1250〜4000回転の広範囲で発生する大トルクがものを言っている。
DCT特有の途切れのない変速感や、高い静粛性も印象的で、トータルとして走りの質感は大きく向上した。シフトモード「E」ではやや力感が薄いが、かったるさは感じさせないころあいの設定。「S」やパドルシフトを使う「M」のモードでは、意外なほどスポーティな走りを楽しむことも可能だ。欧州では156馬力のB200の設定もあるが、B180で十分という結論に至る。
ECOスタート/ストップ機能の完成度も高く、B180の走りとエコのバランス点は高いところにある。
次はシャシーについて。ノーマルモデルのほか、17インチタイヤを履く「スポーツ」、18インチを履く「スポーツ・ナイトパッケージ」にも試乗したが、よりバランスがとれているのは「スポーツ系」だった。ノーマルモデルで気になるのは、ステアリング中立の人工的な締め方で、高速ハイペース走行において自然な動きをスポイルしているフシがある。
どうやら、20mmローダウンのサスを採用した日本仕様は(最大の目的は立体式駐車場への対応だろう)、可変ギヤレシオのダイレクトステアリングを搭載する「スポーツ」とのマッチングがよさそうに思える。
自然な操舵感だけでなく、ハンドリングの一体感や敏捷性、高速安定性においても、当然のごとく「スポーツ」はより高い実力を備える。新型は全車ランフラットタイヤだが、セレクティブダンピングシステムのおかげか17&18インチでもゴツつきは抑えられているから、走りのスポーティさを求める人以外にも、あえて「スポーツ」をお薦めしたい。
ノーマルとの価格差は49万円と大きいが、バリューパッケージなどの魅力の装備が標準で備わることを考えれば、十分に納得できるはずだ。
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