|
JAGUAR X-TYPE ESTATE |
|
|
■発表 2004・7 |
|
ジャガー史上初とは思えないエステートの洗練されたデキ |
プレミアム・スポーツサルーンによって支えられてきたジャガーそんなジャガー王国のなかに、新たに生まれたエステートジャガーのDNAはどう生かされているのか、興味津々! |
|
ボディはBピラー以降が新設計されている |
世界のビッグネーム「ジャガー」。伝統あるそのイメージは、エレガントなプレミアム・スポーツサルーンによって培われたものだ。そんなジャガーにとって、Xタイプはセンセーショナルな存在となった。フォード・モンデオのFFプラットフォームをベースとした4WDとFFのプレミアム・コンパクト。そこにジャガーらしさが受け継がれるのかどうかが心配された。が、そこはものの見事にクリア。Xタイプは、まさにジャガー・ファミリー。ジャガーならではのプレミアムな世界へのエントリーモデルにふさわしかった。
そしてまた、Xタイプはここに新たなセンセーションを巻き起こす。なんとジャガー史上初のエステートモデルを開発、シリーズに加えるというのだ。ラインアップは、2L V6・FFと2.5L V6・4WDという2タイプ。衝撃的なニュースだが、いずれにしても試乗してみなければ話にならない。
とかく、サルーンから派生したワゴンというのは、ボディ剛性不足と全体のバランスに弱みを見せる。Xタイプの場合は、Bピラーから後ろは専用ボディ。標準装備のルーフレールをはじめ、570点以上のパーツが新設計されたという。果たして、サルーンとはどんな違いがあるのか、興味津々。
ワゴン化によるボディ剛性の低下は、ハンドリングや乗り心地にてきめんに表れる。2.5L V6のSEでは、まずは荒れた路面でのフィールをチェック、続いてワインディングロードを攻めるというメニューを組み込んでみた。オプションの225/45ZR17インチタイヤ装着車は、少々硬めの乗り心地。しなやかとはいえないが、フラットでいて悪くはない印象だ。後に16インチ車にも乗ってみたが、そちらは少しばかりマイルドになり、全体のフラット感に変わりはなかった。注目すべきは、いずれの場合でも、ボディ各所がきしむようなことはまったく感じられなかったこと。このパートは合格。サルーンと比べて遜色のない、十分な剛性感を発揮してくれたのである。そしてまた、ジャガーらしさも味わえた。 |
エステートとは思えないスタビリティと味わい |
郊外路での走りはスムーズ。ならばと、ワインディングロードでのハードセッションとなった。2.5L V6は、中高速回転域で勢いがある。Dレンジフル加速では、6400回転近くまで引っ張れ、エンジン音を含めスポーティ感を味わえる。そこはジャガーの味わいだ。パワフルとまでは言えないのは、車重が1670kgと重めなため。それでも、加速フィールはスムーズだし、走っていてなかなか気持ちがいい。2.5L V6サルーンと比べて50kg増にしては、十分な動力性能といえるだろう。アップダウンの続くコースを走ってのことだけに意味がある。
エンジンパワーと、それを効率よく伝える4WDシステム、ハンドリングのバランスはグッド。2.6回転のパワステにクイック感はないが、素直ですぐになじめる。正直、最初はロードホールディングに期待することもなかったが、ツイスティなコースを走っていくうち、意外なほどリズミカルな挙動に、気分が高まった。4輪がしっかりと路面をホールドして、トラクションを伝える。それだけに、連続するコーナーでも姿勢は安定し、平然とハイアベレージを維持できる。ステアリングをはじめ、シャシー系の剛性面に不足なし。
スタビリティも高く、ここまで走ってエステートということをすっかり忘れていたことに気づかされた。オリジナルの205/55R16インチタイヤ装着車ではどうかと、同じコースを走ってみたが、17インチよりは、乗り心地のフィールはマイルドになる。バランス的には、こちらがベストと言えるのかも知れない。だが、17インチ車も捨てがたい……。
いずれにしても、ジャガーテイストの息づくエステートは、サルーン以上の魅力の持ち主かも知れない。 |
(文●横越光廣 写真●内藤敬仁) |
|
●エレガントなスタイルを見ていると、これがオリジナル・デザインではと思えてくる。それほどフォルムは自然で、スタイリッシュ。本当にジャガーにとって最初のエステートカーなのだろうか。ルーフレールは標準。写真のモデルはオプションの7J×17インチアロイホイールに225/45ZRタイヤを装備。 |
|
|
|
●ボディ外寸は、Xタイプサルーンと比べると、全長が45mm、全高が65mm拡大されている。ホイールベース、全幅、トレッドに変更はなし。全体のバランスのよさに注目。 |
|
●ジャガーにはレザーがよく似合う。タッチは硬めでも座り心地はよい。2.5V6には10ウェイ電動シートが前席に標準。細かな調整ができポジションもバッチリ。 |
|
●後席はスペース的には余裕十分で、基本的には快適。しかし、着座位置が低めなため前席などが視界を遮り、圧迫感があるのもたしか。 |
|
●4連アナログメーターは、品よいデザインで視認性もよい。4本スポークステアリングは、チルト&テレスコ機能付きで、太めのリムが手にしっくり。古典の味と高級感をかもす室内はムード満点だ。5速ATシフトはもちろんJゲートタイプとなる。 |
|
●独立開閉式のガラスハッチは、開口面積も広く、エステートの便利な装備だ。狭い場所などでは、大きなテールゲートを開くことなく、荷物の出し入れができるのがありがたいではないか。 |
|
|
●カーペットが敷きつめられたラゲッジルームは見た目も高級で、使い勝手にも優れる。70対30分割可倒式シートを倒せばフラット広大に。容量は445〜1415Lと断然。 |
|
●2.5L V6は、4モード可変吸気マニホールドを採用。回転や負荷などに応じ、開閉タイミングを調整する連続可変カム位相調整システムが組み込まれている。パワーは、通常40対60%配分のAWDにより高効率に配分。 |
|
■ジルコン ■ラディアンスレッド ■プラチナ
■ブリテッシュレーシンググリーン ■ミッドナイト ■ジャガーレーシンググリーン |
|
|
ベーシックモデルとなるFFの2.0V6SEは、最高出力とトルクが159馬力/6800回転、20.4kgm/4100回転。2.5と比べ、さぞやアンダーパワーと思われかねない。が、車重が2.5より100kg軽いおかげで、2.5と遜色ない走りっぷりをみせる。少なくとも、ジャガーらしいスポーティ感は味わえる。しかも、FFとはいえクセもなく、ロードホールディングは優れたもの。等長シャフト、4WD用マルチリンク・リヤサスが生かされている。乗り心地もよく、見逃せない1台といえる。 |
|
|
|
|
|
|
|
この車の情報 |
|
|
バックナンバー |
|
|