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HYUNDAI GRANDEUR |
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■発表 2006・1 |
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世界的レベルを目指した
ヒュンダイのフラッグシップ |
販売台数で好調に推移するヒュンダイにとって
これまで手薄だったラグジュアリークラス
世界戦略に向け開発されたグレンジャーの実力に迫る |
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従来型XGと比べて格段にグレードアップ |
ここ数年、世界的に販売台数を伸ばして勢いづくヒュンダイは、かつての日本のメーカーをイメージさせる。さらなる発展をめざし、精力的にニューモデルを展開。確たるフルラインアップは、世界戦略上、どうしても必要なテーマだ。そこで、重視されるのが象徴たるフラッグシップカー。日本では、01年から「XG」がその担い手となっていた。そして06年1月から「XG」の後継として発売されたのが「グレンジャー」。3.3LV6を搭載するラグジュアリー4ドアサルーンだ。
グレードは、GLSとより上質なGLS・Lパッケージの2タイプ。駆動方式はFFで、ミッションは5速AT。価格はヒュンダイ全般にあてはまるが、3.3Lラグジュアリーサルーンとしてはリーズナブルな設定だ。これは、先代のXGにもいえたことである。
新設計アルミ・シリンダーブロックのエンジンを始め、新プラットフォームの採用など、高級車マーケットへ切り込むために、やるべきことはやったというグレンジャー。なるほど居住スペースは広く、本革シートを始め、装備は充実している。では、開発コンセプトのひとつとなった「滑らかで力強い走り」はどうか。
GLS・LパッケージのセレクトレバーをDレンジにセット、アクセルを踏み込んだ。出足よく、力強さが伝わってくる。市街地での信号待ちでは、クリープが強くいつでも素早くダッシュできるという感じ。それだけトルクが分厚いということだ。
ならばとフル加速すると、力強くスパート。Dレンジのままでも6500回転レッドゾーンまで引っ張れるのだから、パフォーマンス的にはいうことなし。こと加速性に関しては、予想以上の実力といえる。ただし、ラグジュアリーカーとしては、まだまだ粗削り。とくに中高速域でのエンジンノイズが耳障りだ。補機類など、耳につく音質のノイズも高級感をスポイルする。 |
5速ATはハイギヤリング |
ノイズを気にしなければ、高速走行時には余力十分という実力を見せる。100km/hは5速1800、4速2700、3速3700、2速5300回転相当。ハイギヤリングながら、好レスポンスを見せるのは、それだけトルクフルということだ。定速で流すかぎり、なかなか快適。高速直進安定性もよく、余裕のクルージングを見せてくれることもたしかだ。
フロントがダブルウイッシュボーン・コイル、リヤがマルチリンクのサスペンションと235/55R17インチラジアルがもたらす乗り味は、基本的にはマイルド。いまひとつ乗り心地にフラット感がないのが、ラグジュアリーカーとしては物足りない。
3.2回転のパワステは、ほどよい重さでハンドリングは素直な部類といえる。このクラスのクルマに、スポーティカーなみのポテンシャルを望むべくもなく、控え目のスピードで走るかぎり扱いやすい。といって、問題がないとも言えない。ABS、トラクションコントロールを複合したESPを装備しながら、ウエット路の急発進では激しくホイールスピン。少なくともトラクションコントロールの効果が認められず、少々驚かされたというのが正直なところだ。もうひとつワインディングロードを元気よく走って気になったのは、前がベンチレーテッド式の4輪ディスクブレーキの能力不足だ。 |
文●横越光廣 写真●犬塚直樹 |
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●スタイルは、いかにも今日的。4ドア6ライトサルーンとして、クーペ的でスマートなプロポーションが特徴的。「洗練されたダイナミズムとエレガンスの融合したスタイル」というデザインコンセプトは生かされていると思う。意外に小さく見えることはともかく、全体のアピール度は弱い。 |
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●流麗なルーフと前後フェンダーにわたるキャラクターラインが、角度によってダイナミック。レベル調整付のプロジェクションヘッド、LEDコンビが前後を引き締める。 |
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●電動のレザーシートはソフトタッチ。ランバーサポートは気持ちよいが、背もたれのサポート性はいまひとつ。 |
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●後席スペースは断然広くて、居住性は高級車然としている。とくにレッグルームは広々。シートは分割可倒式。 |
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●Lパッケージは、ステアリングのチルト&テレスコ機能が電動式となる。メーターは電子発光タイプのスーパービジョン。高級感をディスプレイするための要所の木目パネルと、アルミ調のコンソールが目につく。 |
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●トランクリッドは大きく開く。容量は469L。フルサイズのスペアタイヤを備えるだけに価値がある。 |
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●新設計のアルミ製シリンダーブロックを採用して軽量化。低回転から高回転までスムーズさを発揮させるためのCVVT(連続可変バルタイ)、吸気ダクト構造と吸気バルブの開閉タイミングをエンジン回転数に応じて最適化するVIS(可変吸気システム)を採用。全域にわたってトルクフルな性能をもたらす。 |
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□ノーブルホワイト ■スリークシルバー □ピュアパールホワイト
■ディープパープル(受注生産カラー) ■エボニ−ブラック |
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安全性に対してもグレンジャーは配慮されている。乗員を守るために8エアバックシステムを採用。運転席と助手席のフロント&サイドエアバッグ、後席用サイドエアバッグとカーテンエアバッグが万一の衝突時の備えとなっている。また、前席にはアクティブヘッドレストが備わり、衝突時には背もたれの圧力に反応、ヘッドレストが自動的に前に出て乗員の頭部や首への負担を軽減する。 |
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