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HUMMER H3 |
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発表 2005・6 |
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効率やトレンドなんか無視だ!
そんな潔さが気持ちいいH3 |
軍用車ハンビーをそのまま市販車に仕立てたようなH1
それがこの一風変わった大型SUVブランドの誕生だった
広くファンを獲得したヒット作H2の弟分が、いま登場した |
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ハマーとしては小型でもデカイ! |
「小さいハマーなんて意味ないじゃん……」、なんて声を聞いた。H3の写真が雑誌に出始めたときのことである。
たしかにそうかもしれない。軍用車ハンビーから連綿と受け継がれるのはファットなボディ。インパクトあるエクステリアデザインと2mを超える幅が、「ハマー見参!」と言わしめているのだから。街で見かけるH2に、思わず足を止めるのも、このサイズによるところが大きいといえるだろう。
ではH3は、本当にコンパクトなハマーなのか?
その答えはきっとノーだろう。全長4720×全幅1980×全高1860(タイプGは1910)mmのボディをだれもコンパクトとはいわないはずだ。近ごろの輸入SUVらしい堂々としたサイズをしている。
それでもH3は全長が少し短いと思う人がいるかもしれない。「H3だけ全長を切り詰めたのかぁ?」と。だが、H2でさえ4830mm(スペアタイヤキャリー装着車は5150mm)だし、H1にかぎっては4700mmを切るのが現実。ハマー兄弟はどれも全長が短いのが特徴となる。
これにはしっかりした理由がある。もともと軍用車をデザインコンセプトとしたことで、オフロードでの走破性を高めたパッケージングが施されたからだ。前後のオーバーハングを切り詰め、アプローチアングルを稼いでいる。その結果、H3は前後とも30度後半のアングルを確保、H2は40度前後となる。余談だがH1のアプローチアングルは72・5度。もはや直角に近い状態である。萌え〜!
それはさておき、H3はH1(ハンビー)からのデザインを非常にうまく継承している。独特のグリル、直線的なラインのオーバーフェンダー、それに天地の短いサイドウインドウなどがそれだ。こいつを見てハマーだと認知する確率は高いだろう。 |
パフォーマンスは合格
デザインは超個性的 |
そんなH3のメカニカルコンポーネンツは、GM製コンパクトピックアップ、シボレー・コロラドをベースとする。H2はフルサイズピックアップベースなのだから、GMとしては順当な手法だ。ラダー式のボディオンフレーム構造に、前ダブルウイッシュボーン&後リーフリジッドというサスペンションが取り付けられた。
しかも、この形式は比較的新しい。というのも、02年型トレイルブレイザーが最初で、それをコロラドが継承したものだからだ。なので、トラックベースといっても、何十年も昔の構造とは違う。
それは乗った瞬間に感じる。ピックアップに比べボディ重量が増しているにも関わらず、キビキビしたハンドリングを実現するのだ。外から見たイメージよりも軽快で、スムーズに操れる。
さらにコロラドから移植された3.5L直5エンジンも吹け上がりは滑らか。多少ガサツなフィールが残りアクセルに対しリニアではないが、パワーの出方に文句はない。というか、ここはアメリカンテイストが強く、アメ車好きにとってはうれしい部分となる。
ただ、絶対的なパワーを要求すると少しばかりプアな気もしなくない。このルックスだけに、高速で道を空けられたら、ドカーンと行きたいところだ。まぁ、その辺はいずれスーパーチャージャーでも付けるとして、このデザインは買うだけの価値がある。わたくしもメチャメチャほしいです。 |
文●九島辰也 写真●内藤敬仁 |
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●直線的なラインで描かれた個性的なスタイリング。多少ジープとかぶるのは起源がそこにあるからだ。先代チェロキーがヒットした、四角いクルマが好きな日本のマーケットでブレイクする予感は大。グレードは「タイプS」と「タイプG」のふたつ。スペアタイヤキャリーは標準装備となる。 |
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●ブロックを積んだような四角いボディ。風洞実験が繰り返される21世紀において、気持ちいいほどそれを意識させない。こんなクルマ二度と生まれてこないかも……。 |
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●座面がタップリのフロントシート。幅があるので大きなカラダでも大丈夫。タイプSはクロス、タイプGはレザー。 |
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●リヤシートは分割可倒式の3名がけとなる。四角いボディはドアの開口部を広くするので乗り降りもスムーズだ。 |
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●シボレー・コロラド(GMCキャニオン)をベースとしながらもインテリアはオリジナルデザインとなる。H2のときもそうだったが、これがヒットした理由のひとつだろう。センターパネルにメタル感を出すなど、高級感も意識している。 |
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●見るからに四角いカーゴスペース。ただし、タイヤハウスの出っ張りがあり100%の有効性はない。とはいえ、使い倒すには十分だろう。 |
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●リヤシートのバックレスト裏側を樹脂素材で加工することで、使い勝手を上げているのはさすが! ハマーらしい気配りといえる。 |
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●223馬力のエンジンはGM製のボルテック3.5L直5ツインカム。トレイルブレイザーの直6からひとつだけシリンダーを削ったと考えればいい。 |
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■ブラック □バーチホワイト ■イエロー
■ビクトリーレッド ■ボルダーグレーメタリック ■シャドーグリーンメタリック |
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H3は、切り替えのトランスファーを搭載した4WDモデル。4WDハイでは、センターデフをフリーにすることもロックすることもできる。また、4WDローでは4.03の超低速ギアが威力を発揮するとともに、なんとリヤデフをロックする機構まで持つ。かなり本格的だ。電子制御によるトラクションコントロールも効果的な装備となる。 |
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