2010年モデルは内外装の変更が中心だったが、2011年モデルのトピックは技術改良。V8、V6とも吸排気可変バルタイ付きのDOHC 4バルブユニットに一新し、ATも5速から6速に多段化したのだから、内容はかなり大がかり。そんな新型マスタング、今回試したのはV8のGTだ。
ちなみに、前年型GTの心臓はSOHC 3バルブの4.6Lで、性能は319馬力/44.9kgm。吸排気音は勇ましいが、マッスルカーとしては走りの印象がおとなしかった。でも、新型は418馬力/ 53.9kgmを誇る5L DOHCを搭載。ATも6速になったのだから、走りはまさしく一変している。
試しにスタビリティコントロールをOFFにしたら、ホイールスピンが止まらず、コーナーの立ち上がりでテールをハデに振ったと言えば、その豪快さがわかってもらえるはず。しかも高回転も得意とし、7000回転オーバーまでパワフルに吹けるのだから恐れ入る。フル加速の速さと迫力はゾクゾクするほどで、マスタングGTは「正真正銘のマッスルカー」と呼べるモデルに進化した。
また、今回はボディやサスにも改良のメスが入る。クーペとコンバーチブルを試したが、とくにクーペは剛性感の向上を強く実感できた。太い19インチタイヤは、オールシーズン規格のため見た目ほどグリップが強力ではないが、クーペGTはコーナーを攻める楽しみもちゃんと提供してくれる。想像以上なのは電動パワステのフィールのよさで、トータルとして操安性は優秀なものだ。
そして、荒れた路面ではまだタイヤがドタバタすることもあるが(とくにコンバーチブル)、シャシー改良は乗り心地の改善にもつながっている。つまり、マスタングファンの多数を占めるだろうムード派にも、2011年モデルは強くアピールする魅力を持っている。長年の夢を叶えるのは今かも。
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