フォーカスやフィエスタの導入がストップし日本では北米モデルの扱いに注力してきたフォード しかし、数年のブランクを経てついに欧州フォードが戻ってきた。その第一弾となるのは……クーガだ!
フォードに新しいSUVが追加された。その名はクーガ。で、さっそくフォードUSAのサイトを覗くが、そこにはクーガの名前はない。そう、こいつはヨーロッパ・フォード製。ある意味、ちょっぴり毛色の違ったSUVがやってきたのだ。
では、その正体はというと、中身はヨーロッパ・フォードのベストセラー、フォーカスと共有。骨格はそのフレームを延ばして造られた。英国仕様のエンジンは2Lディーゼルターボとデュラテックと呼ばれる2.5L直5ガソリン。日本仕様にはそのガソリンユニットが選ばれた。
日本でのポジションは、エスケープの上でエクスプローラーの下となる。価格帯を見るとそれは明確で、エスケープが200万円代中盤から後半なのに対し、クーガは335万円がスタートプライスになる。ちなみに、エクスプローラーのスタートプライスは430万円だ。
ところで、なぜすでに2モデルのSUVをラインアップするフォード日本がさらにSUVを導入したかだが、そこには三匹目のドジョウをねらった感がなくもない。というのも、日本におけるフォードの販売台数の約7割がSUV。さらにエクスプローラー・スポーツトラックまで含めれば、7割5分がSUV系ということになる。ならば!ということでクーガが追加された。フォード=SUVのイメージが強い日本でその選択肢が増えれば、販売台数自体も増えるって計算だ。
そんなクーガはヨーロッパのマーケット用につくられたもので、輸出用ではない。なので、そのままヨーロッパ・フォードを味わえるクルマといっていいだろう。SUVというパッケージングでありながら、高い運動性能を持ち合わせるのが特徴だ。
前置きが長くなったが、ここでその詳細へ話を移そう。まず、ボディサイズだが、ワイドこそ1850mmとなるが、4500mmを切る全長はじつに扱いやすい。イメージ的にはBMW・X1とほぼ同じで、都心部でも不自由ないサイズといえる。
しかも、それでいてデザインはノビノビしている。ロングホイールベースがスポーティな印象を与え、止まっていても動き出しそうに見える仕上がりだ。でもって、それはヨーロッパ・フォードがラインアップするモデルのデザインにつながる。ベースとなるフォーカスやC-MAXもそうだし、コンパクトカーのフィエスタやミドルサイズのフュージョンなんかもそれに準じた面構えとなる。
それじゃ走りはというと、前述したようにヨーロッパ・フォードらしくキビキビした走りを見せた。各部がスムーズでステアリングやアクセルに対する反応もかなりいい。走り出してカラダが馴染んでくると、SUVというよりコンパクトハッチでも操っているように思えるほどだ。要するにそれだけフットワークもいいということ。しかも、ロングホイールベースが功を奏しているのか、思いのほか乗り心地がいいというオマケまでつく。
なので、ダウンサイジングという面で、このクルマにもしエクスプローラーから乗り換えたとすると、当然のごとく驚かされるはずだ。「この違いはなんだ!」、と叫びたくなるほど、アメリカ・フォードとヨーロッパ・フォードのそれぞれのテイストを思い知らされることだろう。
その意味からすると、このクルマはヨーロピアンコンパクトハッチ好きにウケるかもしれない。キビキビした走りとユーティリティを同時に手に入れたい方はぜひ試乗してみてはいかがだろう。
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