DSというと……シトロエンの場合は、革新のハイドロニューマチックをひっさげて1955年に誕生した、あの誉れ高き名車を思い浮かべる人も多いはず。でも、DS3の実態は、新型C3から枝分かれした個性派の3ドアモデル。シトロエンは今後、フツーのクルマでは満足できないこだわりのユーザーをねらった特別なモデルを、「DSシリーズ」として展開する計画なのだ。で、第一弾のDS3の照準は、ミニクーパーやフィアット500、アルファMITOに定められている。
スポーティかつアバンギャルドな、いかにもシトロエンらしいルックスをまとって登場したのはそのため。しかも、ボディやルーフ、ダッシュボードそれぞれのカラー、ルーフステッカー(オプション)などの組み合わせを自由にして、「自分だけのDS3」に仕立てられるようにしているのだ。
なら、そんな個性派の走り味は?
当然のように、性格はC3より明確にスポーティにしつけられている。とくに際立つのは、156馬力のターボユニットと、6速MT、17インチ45タイヤを組み合わせたスポーツシックの存在で、パワフルで切れのいい走りを提供してくれる。低音を強調した排気音も、気分を盛り上げる見逃せない点だ。
高い操安バランスのカギを握るのは、長めのホイールベースとワイドなトレッド、そして自然なフィールを持つ電動パワステ。高速走行における安定感、ハンドリングのキビキビ感や正確性とも、新作フレンチ・ホットハッチに対する期待を裏切らないものだ。それでいて、サスはハードすぎず、うねりや凹凸をきれいに吸収。結果的に、17インチ装着車でもカドのない快適な乗り心地を実現したのだから見事!
「MTが好き」という人には積極的にスポーツシックをお薦めしたい。でも、ATのシックをさりげなく乗りこなすのも粋だ。
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