油圧制御の独創的なサスペンションで、その乗り心地を「空飛ぶ魔法の絨毯」と言わしめた伝説的モデル「DS」。その流れを汲む「C5」が、このほどフェイスリフトされた。
フロントグリルの中央に配され、強力なデザインアイデンティティーともなっているブランドエンブレム「ダブルシェブロン」が新しくなったことで、見た目の印象もだいぶ変わっている。2つのくさびを重ねた形のエンブレムは、フロントをはじめホイールセンターキャップやラゲッジドアの中央、さらにはステアリングホイールに採用され、セダン、ツアラー(ステーションワゴン)ともに、より洗練された精悍さを醸し出すようになっている。
強く惹きつけられる上品な存在感に魅了されながら、ツアラーのステアリングを握ってみた。進化と熟成を重ねたサスペンション「ハイドラクティブVプラス」が生み出す走りのフィーリングは、ある意味ルックス以上に個性的といえるだろう。路面の段差や継ぎ目などのわずかなショックをしなやかにいなしていく快感はまさに異次元のもので、ダイレクト感やスポーティさを標榜する今日のドイツ系高級モデルとは明らかに異なるテイストだ。
インテリアは、クオリティが高く快適そのもの。そして何よりも極上の乗り心地に大きく貢献するシートは類い稀な出来のよさで、進化を重ねながらも伝統がしっかりと受け継がれていることを改めて認識させてくれた。ワゴンとしての機能性は言うに及ばず、上質な走りを楽しめるのがC5ツアラーだ。
ところで、今回のフェイスリフトに合わせて、「ブラン ガラン(ダークブラウン)」が新色として追加設定され、さらにエントリーグレードとなる「セダクション」に新しいデザインの17インチアロイホイールが設定された。価格は据え置きで、存在感とお買い得感が高まっているC5ツアラーに注目したい。
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