ラングラーは現行世代となり、ロングボディ+4ドアのアンリミテッドを追加。販売の主力は用途の広い4ドアに移行した感が強いが、ジープの伝統をより強くアピールする2ドアも健在だ。
そこで2ドアボディに注目すると、ホイールベースと全長はアンリミテッドより520mmも短く、車重は150kgも軽く仕上がっている。199馬力/32.1kgmを発生する3.8L V6や、4速ATおよびファイナルのギヤ比は共通だから、走りがグッと力強いのは当然のことと言っていい。しかも現代のジープは、心臓や駆動系の洗練度も高いため、静粛性もなかなか優秀。ワイルドなルックスに似合わぬほどの快適性も提供してくれる。
そしてシャシー性能。ホイールベースが短いため、うねりの連続ではヒョコヒョコした動きを示すが、タイヤのあたりはリジッドのサスを感じさせないほどマイルド。
先代のような荒っぽさは伝わってこない。で、2ドアならではの特徴は操舵に遅れなく、正確に反応をするハンドリング。どっしりしたアンリミテッドに対して2ドアの動きはグッと軽やかな印象で、意外なほどスポーティな走りを楽しませてくれる。つまり、オンロード性能は全般にハイレベル。4速ATは前時代的ながら、まとまりのよさが光る。
とはいえ、ラングラー2ドアのいちばんの才能は、フレームボディ、前後リジッドサス、コマンドトラック4×4(副変速機付きのパートタイム式)、ショートホイールベースの組み合わせがもたらす最高峰のオフ性能。ルックスだけでなく、走りにもジープの伝統が深く息づいている。だからこそ、日常の走りの場面でも、「本物の4駆を駆っている!」という充実感に浸ることができるわけ。全体に完成度を高めた2011年モデルで、その魅力がさらに深みを増したことは間違いない。
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