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CADILLAC STS |
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■発表 2004・10 |
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洗練された走りを身につけたキャデラック期待の1台 |
かつてアメリカンドリームのシンボルだったキャデラック
栄光復活のため、ニュルブルクリンクで過酷なテストを敢行
そして生まれたのがSTS。GMが真剣勝負に出た1台だ |
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エンジンラインアップは3.6L V6と4.6L V8 |
キャデラックを再び世界のスタンダードに戻す。これが、GMの長期的な目標であり意気込みだ。
60年代を中心に、アメリカンドリームに燃えた時代、アメリカ車は世界をリードした。高級サルーンのキャデラックは、サクセスストーリーのなかでのシンボル的な存在でもあった。かつての栄光を取り戻すべく、現状を認識したうえでアグレッシブに開発されたのが、CTSであり今回のSTSだ。ライバル視するのは、メルセデス・ベンツEクラスやBMW5シリーズ、レクサスLS。
日本で販売されるのは、4.6L AWDを筆頭に、4.6L FR、3.6L FRの3タイプ。いずれも左ハンドルで、5速AT仕様となる。
高級車にふさわしい居住性と快適性、そして卓越した走行性能を高次元でバランスさせたというSTS。4.6Lに乗って最初に感じたのは、開発のねらいがほぼ開花されているということだ。大トルクのV8エンジンは、高速域での切れもよい。連続可変バルブタイミングを備えるだけのことはある。
Dレンジフル加速では、レッドゾーンの始まる6500回転でシフトアップ。瞬発力は強力だし、スムーズ感も併せ持つ。豪快な一方で、がさつさがうかがえたかつてのビッグ・アメリカンV8とは次元の異なる走りっぶりを見せるのだ。しかも、5速ATとのマッチングもよく、あらゆる道路においてスムーズ感を失わないのに感心した。少しも大味でないところに、かつてのアメリカ車ユーザーは驚かされるはずだ。
100km/hは、5速2000、4速2600、3速4200、2速5800回転相当。ハイスピードクルージングでの余裕、これはキャデラックにとっては必須条件だ。もちろんそこは心配無用。長距離クルーズを、ラクラクとこなすこと請けあいだ。 |
足腰は、快適かつコーナリングもこなす |
加速時のエンジン音は、男性的でスポーティ。これはV8として意外だった。が、V6搭載の3.6Lモデルは、いささかノイジー。パワー的には十分な実力をもち、スムーズ感に対しても合格点を与えられる。たしかに動力性能はOKとは思うが、快適性を含めた総合力で4.6Lモデルとの差を感じずにはいられない。
第一にボディ剛性を固め、ニュルブルクリンクで鍛えた足腰は、かつてのアメリカ車の常識をくつがえす。3.1回転のパワステは軽く、とくに3.6Lモデルのほうは手ごたえに乏しいと感じるかも知れない。しかし、実際には素直で扱いやすい方向でまとめられている。可変サスの通常モードでは、乗り心地はソフトに。スポーツモードでは締まって、性格差がはっきり分けられる。
ハンドリングは通常モードでも悪くはないが、本領を発揮するのはスポーツモードだ。ワインディングロードでは、ロールも気にならない安定感を保ったまま、意外なほどにスポーツライクな走りっぷりを見せてくれる。重厚でいて走りが楽しめるところに、キャデラックの意識改革を見た。
これが、AWDとなると安定感は高まる。もともと高速直進安定性はよいのだが、AWDではなおのこと。ワインディングロードでは、低重心の安定感がこたえられない。車重は70kg増となるので、動力性能は少しばかり割り引かれるが、トータルバランスではもっとも印象に残った。今回のいちばんのオススメといえる。 |
(文●横越光廣 写真●内藤敬仁) |
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●タテ目のヘッドランプと発光ダイオード式のテールランプ、格子調の台形グリルに水平基調のキャラクターラインと、ボディデザインはひと目見てキャデラックとわかる個性派。全体的にシャープな印象。 |
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●新型STSは、シグマ・アーキテクチャー・ファミリーのなかで最大のセダン。ホイールベースは2955mmとロングで、全幅も1845mmとワイド。室内も広々だ。 |
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●フルタイムAWDの前後トルク配分は40対60。安定性は高く、ハードコーナリングはオンザレール感覚だ。 |
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●8ウェイ・パワーシートは、快適ポジションをもたらす。4ウェイ・パワーランバーサポートの感触は良好。 |
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●リヤシートの居住性は上々。断然の広さを持ったゆとりのシートでは、ゆったりとくつろぐことができる。 |
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●高級でスポーティなインパネまわり。装備類はいたれり尽くせリ。本革&ウッドのステアリングは、ヒーター付きで、テレスコ&チルト機能も備えている。4連メーターと、DVDナビなど各種情報を伝えるキャデラックビジョンがかなり便利。 |
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●最新技術があますところなく採用される。リモートスタート機能付きのキーレスアクセスはなかなか重宝だ。 |
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●ダブルヒンジの採用で、容量も大きいトランクルーム。リヤシートのスルー機構と相まって、使い勝手がよさそう。また、トランク内部には吸音材を採用するなど細かな配慮も。 |
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●ノーススター4.6L90度V型8気筒は、アルミ製のシリンダーブロック/ヘッドを持つ。連続可変バルタイ(VVT)、電子制御スロットルにより、ハイレスポンスの加速性を備える。 |
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■プラチナ・シルバー ■セーブル・ブラック □ホワイト・ダイヤモンド
■ブルー・オニキス ■スポーツレッド ■サンドストーム
※ほか1色あり |
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FR、AWDとも、4.6Lにはリアルタイムで4輪すべてのダンパー減衰力を制御する電子制御の連続可変システム(マグネティック・ライドコントロール)を標準装着する。AWDは、前、中央、後ろの3つのオープンデフ、そして全速域ステアリング操舵角制御のトラクションコントロールを採用。各車輪のトルク配分を最適化している。 |
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マグネティック・ライドコントロール(左)/AWDシステム(右) |
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