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キャデラック CTS |
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■発表 2007・10 |
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「アート&サイエンス」路線を継承・熟成
走りと内外装の質感を大幅にレベルアップ |
キャデラックのエントリーモデルであるCTSが、2008年モデルで新型となった
レギュラーガソリン指定の直噴式エンジンを搭載するなど、メカニズム面での
新機軸も多い新型CTS。内外装の質感と走りの性能も大幅アップを果たした |
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FRに回帰した新世代プラットフォームを核に、ハイテク度を高めたパワートレーンと、「アート&サイエンス」をテーマとするエッジの効いたボディスタイルをドッキング。すべてを一新して登場した新世代キャデラックは、「走りも、品質も前時代的」というアメリカ車に対する旧来のイメージをぶち壊し、グローバル・ブランドとしての再生・発展を目指すキャデラックの新しい道筋をわかりやすいカタチで示した。
とは言え、先代CTSの出来はまだ荒削りの印象。いまいちシャキッとしない操安性や、質感に不満が残る内装などに、未だ小さくない欧州や日本のプレミアムカーとの差を感じたのも事実だ。
だが、それはGM自身もよく理解していたよう。キャデラックの「プロダクトルネッサンス」計画は、07年からフェーズ2へと発展。その流れに沿って開発された2代目CTSでは、従来型の弱点がきっちりと修正されているのだ。
まずは、ニュルブルクリンクで鍛え直したという走り。パフォーマンスサスと18インチ50タイヤを組み合わせた「3.6」の走りは、微少な舵角でも正確かつ自然な反応を示すハンドリングと、超高速域でもリラックスしてハンドルを握っていられる高いスタビリティを両立させたもので、欧州車を好むスポーティ派のドライバーをも十分に満足させる実力を持つ。
二世代前までのキャデラックしか知らない人が乗ったら、驚きのあまり口をあんぐりと開けるかもしれない!? で、そうしたスポーツ性を考えれば、乗り心地にも合格点を与えられる。タイヤのあたりこそ硬めだが、不快な上下動は抑え込んでいて、いい意味で締まった乗り味に仕上げている。
そして動力性能。311馬力/38.1kgmの強力スペックは伊達ではなく、6速に進化したATとのコンビで、「3.6」はどんな場面でもパワフルな走りを提供してくれる。直噴ガソリンにありがちなゴロゴロした回転フィールやノイズは気にならず、豪快かつスムーズにレッドゾーンの7000回転を極めるのもグッド。豪快だが粗野というアメ車のイメージを、いい意味で裏切る洗練度が光る。
2.6&3.2Lで上陸した初代CTSは、中高回転まで引っ張ると回転フィールが荒っぽくなり、全体にがさつな印象だっただけに、フィーリング面でも進化幅は大きい。
また、「そこまでの速さやスポーツ性は不要」、「もっと快適に、イージーに走りたい」という人には、「2.8」という選択肢も用意している。こちらのV6DOHCは直噴ではなく、214馬力/25.1kgmと性能も水準レベルだが、1.7トン台の車重に対しては十分なもの。標準サス+P135/50R17の組み合わせは「3.6」より明確に快適性の方向に振られたセッティングで、伝統的なアメリカ車を好む人にもフィットする。
サイズはメルセデスEクラスやBMW5シリーズと同等だが、所属セグメントや価格帯で見ればCクラスや3シリーズがライバル。そんなポジショニングも、押し出し感あるクルマや、ゆったり気分で乗れるクルマを好む人には支持されるに違いない。そこでは洗練度を高めた「アート&サイエンス」のルックスも武器になる。
走りの性能やクオリティ面で欧州車や日本車のいいところを学び直し、そのうえで「キャデラックとしての個性」も強化した新型CTSは、じつに意欲的なモデルと言っていい。日本市場では相変わらず、ドイツプレミアム勢の人気が高止まりの状態。が、その牙城に切り込む存在として、興味深い個性とポテンシャルを備えている。
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文●森野恭行 写真●犬塚直樹 |
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●3.6Lは235/50R18サイズのサマータイヤを標準装備。アルミホイールは光輝感が魅力のハイポリッシュタイプだ。 |
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●シートは本革張り。前席は8ウェイ調整機構に加えて、シートヒーター&ベンチレーション機能も標準装備する。ゆったり、快適な掛け心地が魅力だ。ボディサイズを考えれば当然だが、後席も広く、大柄な男性の4人乗車も余裕でこなす。 |
●ダイナミックに変身したデザインと、大幅に高まった質感が見どころ。カット&ソー製法のインパネ、HDDナビ、BOSE 5.1chサウンド、電動チルト&テレスコステアリングが標準と、装備もいたって充実! 左ハンドルのみの設定だ。 |
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●先代と同様に分割可倒式リヤシートを採用。長尺物やかさばる荷物の収納にも対応する。容量も大きめで、実用性は○。 |
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●3.6Lは先進の直噴メカを採用し、311馬力を発揮する。0→60マイル(約97kg/h)加速6秒以下の高性能と、レギュラーガソリン指定の“粗食”を両立する。 |
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■セーブル ブラック □ホワイト ダイヤモンド ■プラチナ シルバー ■クリスタル レッド ■ブルー オニキス ■ブゴールド ミスト |
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コルベットZR1と同じ心臓を持つモンスターマシンの日本導入に期待!
446馬力/60.8kgmの過給機付き4.4Lを積むSTS-Vの速さも衝撃的だが、09年型で投入のCTS-Vの心臓は、さらにビッグでパワフル。 なんと、09年型コルベットZR1と基本を共用する過給機付き6.2L(OHVのLS系ユニットがベース)を搭載し、550馬力/76.2kgmを実現するのだ! 19インチタイヤを標準装着するなど、シャシーも本気のチューン。 |
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