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BMW X5 |
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■発表 2007・6 |
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人気の“SAV”X5が2代目に進化
走りに一層磨きをかけてデビュー |
BMW X5がついにフルモデルチェンジ
エンジン、シャシーとともに大幅な進化を遂げた新型X5は
再びクラスのベンチマークとして君臨することになるか |
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X5の販売は絶好調だ。それだけ、市場の期待も大きかったということ。そもそも、従来型のX5はモデル末期になっても人気が衰えなかった。現在でも、中古車市場では高い価値を維持している。その従来型に続く新型だけに、おのずと注目度も上昇したわけだ。
新型は、従来型以上にBMWらしい。従来型は、初のSAVだっただけに、いささかオーバー・クオリティ気味。ボディを頑丈に造り込みすぎたために、車重が超ヘビー級だった。それが、いい意味では独特の重厚感に結びついていた。ただし、BMWらしさという意味では走りの実力は申し分なくても少しばかり異質だった。
だが、新型はとにかく走りが軽快だ。新型は頑丈さをそのままにサイズが拡大(全長で約+200mm)したにもかかわらず、ボディ単体の重量は従来型と同等に抑えている。しかも、2トンを大きく超える車重が走りの負担にならないようにするためのノウハウも十分に蓄積したのだろう。
実際に、狭い山岳路でもボディサイズや車重を意識することはない。その理由のひとつに、新型がステアリングのギア比が低速では鋭く、高速では穏やかになるように連続可変制御するアクティブ・ステアリングを標準装備することがあげられる。そのため、低中速コーナーへの進入時は、ステアリング操作に対してクルマの鼻先がスッとイン側を向く。
さらに、オプションのアダプティブ・ドライブを装備すると、スタビライザーの強さとダンパーの減衰力を協調させながら連続可変制御。コーナリング中にボディのロールをほぼゼロに抑えるので、車高の高さを忘れさせてくれる。したがって操縦性の正確さが際立ち、高速域になるとコーナリング中の安定性の高さが実感できる。
エンジンは、4.8LのV型8気筒と3.0Lの直列6気筒を用意。V型8気筒エンジンを積む4.8iは、最高出力355馬力を発揮するだけに、アクセルを踏み込めば6000回転台まで一気に吹き上がり、豪快な加速を楽しませてくれる。もちろん、全回転域で41.0kgm(400Nm)以上のトルクを維持するだけに、アクセルの踏み加減に合わせていつでも望みのどおりの加速がこなせる。
気になるのは、直列6気筒エンジンを積む3.0siの走りだ。はたして272馬力を発揮するエンジンで、BMWらしさが得られるかどうか……。ところが、心配は無用だった。不安は、スタートの瞬間から解消される。アクセルをスッと踏めば、スッと加速体制に入る。なぜかといえば、このエンジンは日常的に使う2000回転台から最大トルクの32.1kgm(315Nm)を発揮している。
しかも、高回転域では刺激的な加速が楽しめる。アクセルを踏み込むと中回転域から力強さが一段と盛り上がり、吹け上がりの勢いが増しつつレブリミットの7000回転に達する。そして、高回転域ではエンジンがクォーンという快音を響かせるので、その刺激が重なって吹け上がりの勢いとパワフルさが感覚的にも増幅させる。
走りだけではなく、新型X5はデザインも軽快だ。従来型と比べると、ボディはかなり大柄になっているが新型の方がスマートに見える。それでいて、乗り心地は7シリーズに迫るほど快適だ。インテリアのデザインも、ウッドトリムとアルミニウムトリムを組み合わせるなど、BMWとしては新しい試みを取り入れている。その上質感は7シリーズを越えるといっても大げさではないほどだ。 |
文●萩原秀輝 写真●内藤敬仁 |
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●標準はM+Sタイヤ。応答性のダイレクト感を望むならサマータイヤがいい。 |
●平均的な体格の男性なら十分に座れる3列目シートを持つ7人乗り仕様を用意。この仕様は2列目シートに前後スライドを装備。2列目シートを最先端にスライドさせても窮屈感を覚えない。前席はBMWらしい走りが満喫できる運転姿勢を選ぶことができる。 |
●ウッドパネルは“無垢”でアルミトリムは“削りだし”のような質感を表現。ウッドトリムには竹を寄せ木細工のように組み合わせた“バンブー”も用意されている。iDriveは第3世代といえるプログラマブル・ボタン付き。新たに採用した電子制御式ATセレクター・レバーにも注目。 |
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●3列目シートは簡単操作で床下に収納。日常的にはこの状態で広大な荷物スペースを生かし乗員が増えたときにパートタイムで3列目シートを使うというのが新型X5に相応しい乗りこなし。 |
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●4.8iのエンジンは550iが積むエンジンと同型だがX5のキャラクターに合わせて低中回転域のトルク特性に厚みを持たせてある。それでも胸のすくような高回転域特性が楽しめビートを効かせたエンジン音を響かせる。 |
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□アルピンホワイトIII ■ブラックII ■チタン・シルバー
■モナコ・ブルー ■ディープ・グリーン
※ほか3色あり |
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オンロードとオフロード
路面を選ばない走破性能を実現
新型X5はxDriveを装備する。このシステムは前後40対60のトルク配分が基本。さらに走り方や路面状況に応じて前後のトルクを連続可変制御。たとえば舗装路のコーナリングではフロントへのトルク配分を減らしてFRのようにダイレクトな応答性を発揮。しかも1輪でも接地していれば優れた走破性が得られる。 |
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