「 ブルーパフォーマンス」の名称で、日本でもクリーンディーゼルの積極展開を開始したBMW。5シリーズにも523dが加わった。車名から「排気量は2.3L」と連想するかもしれないが……心臓は320dと共通の2L直4ターボで、184馬力/ 38.7kgmの性能も共通だ。“5”の車格を考え、あえて523dの名を与えたと考えればいい。
そんな523dが声高にアピールするのは、JC08モードで16.6km/Lという燃費のよさと、税制優遇に象徴されるお得感。でも、BMWなんだから退屈なエコカーであるはずがない。走りっぷりのよさは、優秀な燃費以上に衝撃的なものだ。
そのカギとなるのは、535iが積む3L直噴ターボ(40.8kgm)に迫る大トルク。トルクの大波に乗ってグイグイと速度を乗せていく感覚は、なんとも頼もしく、528iもたじたじといった印象だ。
しかも、振動やノイズも4気筒ディーゼルとは思えないほど抑えられている。アイドリング時や発進・加速のときは、さすがに特有のカラカラ音が耳に入るが、音量は小さく荒っぽさとは無縁。クルージングにおける静粛性はガソリン車を凌ぐほどだから、快適度は文句なしと言っていい。
そして、場面や好みにより走行モードを選択できるドライビングパフォーマンスコントロールにも注目したい。「スポーツ」を選んでトルクもりもりの加速感を楽しむのも、「ECO PRO」にして燃費を伸ばすのも、どちらも523dに乗る歓びにつながる。もっともはまるのは高速道路をハイペースで駆け抜けるシーンだが、峠道を飛ばすのだってあり。応答性に優れ、高回転まできれいに回るエンジンは、ディーゼルを忘れさせるほどのスポーティで上質な走りを演出してくれる。乗ればきっと、「ディーゼル嫌い」も宗旨替えしてしまうのでは?それほどまでに完成度は高い。
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