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BMW 1Series |
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■発表 2004・10 |
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BMWの底力を感じさせるエントリーコンパクト |
スポーツライクでプレミアムなBMWのDNAは、今、力強く息づきだした
エントリーモデルとして新たに開発された1シリーズを見れば明らか
見た目も内容も、一貫して脈打つのは最新のBMWマインドだ |
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3グレードの細やかなラインアップ |
今年、BMWは6シリーズ、X3、MINIコンバーチブルなど、意欲的なニューモデルを日本市場に導入してきた。そして、04年の最後となるのは3シリーズに替わり、新たにエントリークラスを担うことになった1シリーズ。BMWにとっては常識だが、コンパクトセグメントでは唯一のFRレイアウトとなる5ドア2ボックスの登場だ。
新設計のボディとサスペンション、ランフラットタイヤを標準としたクラス初のアクティブ・セーフティの取り入れなど最先端テクノロジーの結集は、BMWの意気込みを感じさせる。エンジンは、116i用1.6L115馬力、118i用2L129馬力、120i用2L150馬力の3タイプで、ミッションはすべてZFの6速AT。
試乗したのは120i、スポーツサスペンション仕様で、タイヤもオプションの205/50R17インチとサイズアップ。それだけに、自慢のフットワークがクローズアップされて当然。ロックツーロック3回転のパワステは、操舵力が重めで切り始めのレスポンスは控えめ。スピードとともにじわりと切り増していくと、太いリムのステアリングを通して舵感と路面からの情報がダイレクトに伝わってくる。ファーストインプレッションとしてもっとも印象的だったのは、サス設定はハードでもフラットな乗り味。少しもドタバタしたところがなく、上質で安定したフォームを保つことだ。
50対50の前後重量配分は、けっしてダテではない。バランスのよさはツイスティなコーナーを走れば明らか。積極的に重めのステアリングを切り込めば、オンザレール感覚でコーナーをクリアしていく。もちろんスタビリティは高く、スポーティモデルとしてトップランクの実力派だ。が、強いてバランス面に焦点をあわせれば、最上とまではいえない。スポーツサス&17インチタイヤ車では、ステアリングレスポンスがベストとはいえず、ツイスティなコースでハイアベレージのまま正確無比なコントロールができる自信がない。ワンダリングや路面からのキックバックが気になることもたしか。まあ、高い次元での話であり、セッティングが自分には合っていなかったのだろう。 |
スポーツマインドをそそるシャープな加速 |
そこで、ごく短時間だが、ノーマルサス&オリジナルの16インチタイヤ車に乗ってみた。やはり、バランスはこちらの方が勝る。神経質な一面もなく、レスポンス自体もすぐに馴染めるものだった。むろん、コーナリング性能にも優れ、マイルドな乗り心地もグッド。前記のスポーツサス車より若干劣るかも知れないが、ブレーキ性能/フィールも上々といえた。それにしても、コーナーでの安定感は極めつき。DTC付きDSC、ASCなど、ありとあらゆるセーフティ・コントロールが協調制御しているのだろう。
エンジンは、レッドゾーンの始まる6500回転まで気持ちよく吹き上がる。Dレンジフル加速でさえ、そこまで引っ張れるのだから、十分にスポーツライク。シフトは変速ショックが小さく、レスポンスも申し分なし。Dレンジのままでも、快音をともなっての俊足ぶりで、スポーツマインドをそそられる。でも、本当に120iの走りを堪能しようというのなら、ステップトロニックのMT操作。BMWは、前がダウンで後がアップ。小気味よくキメられるだけに、一段とスポーツフィールが高まる。
6速ATのギヤリングは、ハイギヤード・クロースレシオ。100km/h時のエンジン回転は、6速2200、5速2700、4速3700、3速4800回転相当。150馬力のパワーを効率よく伝えてくれる。ワインディングロードではもちろん、市街地でのドライバビリティ、高速道路で真価を発揮するCD値0・29の空力性と、余裕しゃくしゃくの走り。120iは2Lとは思えない実力とプレミアム性能を惜しみなく披露してくれる。 |
(文●横越光廣 写真●内藤敬仁) |
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●低いルーフラインに幅広のCピラー。光によって際立つショルダーラインと独特のウエストライン。エモーショナルでセクシーなプロポーションが、ほかのコンパクトセグメントカーとは大きく違う。Z4にも通じるインパクトは抜群。個性的な存在感で、独自のカテゴリーを築きそうだ。 |
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●ロングフード、2660mmのロングホイールベースにショートオーバーハング。キドニーグリルに丸形4灯式ヘッドライト、フロントエプロンの幅広いエアインテークと、BMWならではのダイナミックさが強調されている。 |
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●理想のポジションを得るうえで、リフターが大きな役割を果たす。シートタッチはソフトめで、体を包み込むよう。座り心地を始め、サポート性もなかなか。 |
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●後席は2対1分割可倒式。レッグルームは広いとはいえないが、必要十分。サンルーフ仕様でもヘッドルームに余裕があり、シートのサポート性もグッド。 |
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●インパネまわりは、シンプルでありながら上質感をかもす。スポーツレザーの3本スポークステアリングは、テレスコ&チルト付き。2眼メーターは絶妙のデザインで視認性抜群。オンボードコンピューターに各種情報が表示される。オイルレベルさえパネル内に表示と、とにかく進んでいる。各種スイッチ類、操作類はじつに扱いやすい。 |
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●エンジンのスターターはダッシュ左のスタートボタンを押すだけ。ワンタッチでスタート&ストップできる。エンジンをスタートさせる時点で独自性を実感。 |
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●ステップトロニックZF製6速ATは、120iのスポーツ性を引き立たせる。Dレンジのままでもよし、シーケンシャル操作では小気味よくシフト。 |
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●ラゲッジルーム容量は、標準時で330L。2対1分割可倒式バックレストを倒せば、最大1150Lとなる。床はほぼフラットで使い勝手もよい。荷室下には、バッテリーが位置。50対50の前後重量バランス獲得のための設計だ。 |
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●120iの2L DOHC150馬力ユニットは、おなじみのダブルVANOS、DISA(共鳴過給吸気システム)、バルブトロニック、2本のバランスシャフト、4-2-1エキゾースト・マニホールドを装備する。 |
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■ブラック・サファイア ■クォーツ・ブルー ■ジャパン・レッド
■チタン・シルバー □アルピン・ホワイトIII ■スパークリング・グラファイト
※ほか5色あり |
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優れたロードホールディングと乗り心地をバランスさせるため、サスペンションには徹底したこだわりを見せる。フロントはダブルジョイント・スプリングストラットで、軽量化と高剛性を目指した100%アルミ製。リヤサスは新しい5リンク式で、剛性を確保するため軽量スチール構造となっている。コンパクトセグメントとしては、ぜいたくなメカとチューンがいかにもBMW流。スポーツサスは、わずかにハードで車高は15mm低くなる。 |
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