アウディのアッパーミドルサルーンA6のフルモデルチェンジから1年、高性能モデルS6が発表された。今回登場した新型S6は、初代から数えること4世代目にあたるモデル。ベースモデルA6のハイライトである軽量テクノロジー“アウディ・ウルトラ”を継承し、それに高性能パワーユニットと強化した足まわりを組み合わせるというSモデルの伝統的な手法に則って開発が行われた。
このような高性能モデルの要となるのは、やはり心臓部に積まれるエンジンだろう。新型S6では、新開発の4L V8直噴ツインターボエンジンを搭載し、最高出力は420馬力を発生する。初代モデルからエンジン遍歴を簡単に辿ると、2.3L直5ターボ(初代)、4.2L V8(2代目)、5.2L V8(3代目)…と、徐々に排気量を拡大してきた。しかし、新型は4Lと少し排気量を縮小する代わりに過給器を組み合わせて出力を稼ぐという、ここ最近主流の手法が取られている。その結果、カタログスペック上で15馬力パワーダウンしているが、高水準の環境性能を実現しているのが見どころだ。
実際、このわずかな違いを体感するのはハイウェイでも難しいかもしれない。そして、環境性能アップに繋がるトピックとなるのが、低負荷時に4気筒を休止する“シリンダー・オンデマンド”。Sトロニックやクワトロ、アイドリングストップなどの既存の技術も惜しみなく投入することで、高性能スポーツサルーンとして抜群の存在感を放っている。
また、足まわりにはアダプティブエアサスペンションを採用。好みに合わせて走行モードを切り替えられるので、大切なゲストを乗せているとき、またはプライベートで走るときなど、シチュエーションによって使い分けできるのも、S6の懐の深さを伺えるポイント。上品さ、そして快適な乗り味も重視するならS6はまさにベストバイとなるはずだ。
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