待望のアウディSUV第2弾が登場Q7よりひとまわり小さく扱いやすいボディを備えパワフルな心臓、クワトロシステムを搭載しアウディらしい走りを実現する
ネーミングからもわかるように、Q5は待ち望まれていたQ7の弟分。母体になったのは、パワートレーン配置から設計を見直した新世代A4&A5で、2810mmのホイールベースや、前40対後60の基本駆動力配分にセットされたクワトロシステムなどの基本メカを共有する。
なら「Q」の特徴は?見どころは、205mmの余裕ある最低地上高と大径タイヤ、そしてオフロードモード付きESP(挙動安定装置)を与えて、ラフロードでの高い走破性を確保した点。ねらいはオン・オフ両刀の今風クロスオーバーで、BMW・X3やメルセデスGLKと市場でガチンコ対決をすることになる。
で、試乗をしたのは、新世代に発展した2L直4ターボを積む2.0TFSIクワトロと、定評の3.2LV6を積む3.2FSIクワトロの2タイプ。どちらもSライン・パッケージ装着車をベースに、アウディドライブセレクト(囲み参照)や電動パノラマサンルーフを組み込んでいた。
まずは2.0TFSIに乗り込むと、驚かされたのは発進からの力強い加速感。約1.9トンの車重が信じられないほど、グイグイとスピードを乗せていく。それもそのはず、じつは1500〜4000回転台半ばまでのトルクでは、3.2FSIを上まわっているのだ。7速Sトロニックとの連携も素晴らしく、Dレンジではスムーズかつ洗練された走り、パドルを使う手動シフトではキビキビとスポーティな加減速を楽しめた。
さらに、乗り比べるとわかるのだが、ハンドリングも3.2FSI以上に軽快だ。ドライブセレクトを「コンフォート」にセットした状態でも能力は高いが、「オート」、「ダイナミック」と切り替えていくとフットワークはさらに俊敏に、ハンドリングはより正確になる。ここでものを言うのが、4気筒モデルならではのノーズの軽さというわけだ。峠道をハイペースで駆け抜けてみたが、速さ、楽しさ、刺激性は、SUVに乗っていることを忘れるレベルだった。
という話の流れだと、上級の3.2FSIの立場が危うくなりそう。でも、さすがは3.2LのV6。回転のスムーズさや静粛性は確実に2.0TFSIを上まわるもので、走りの上質感や快適性では直4ターボを寄せ付けない。そして流すプラスαのペースから、本気のペースに引き上げると、もうひとつの才能を開花させた。
V6は高回転の伸びがシャープで、とにかくパワフルなのが印象的。直4ターボの出来もいいが、サウンドを含めてより刺激的で、回すのが楽しいのはV6だ。そんな心臓の誘いに乗って、より積極的な運転に切り替えると、後ろ寄りの駆動力配分としたクワトロシステムが本領を発揮する。アクセルコントロールにより向きを変えることができるのだから、好き者にはたまらないはずだ。
さらに、ムダな姿勢変化を抑制するシャシー(とくにダイナミックモード)、ハードな減速の連続でも音を上げない強力なブレーキも、Q5への信頼を高める大きなカギになる。それでいて、「コンフォート」を選択すれば、19インチタイヤの硬さを感じさせないほど乗り心地は上質で、操舵力も適度なのだから、走りの実力やバランスは申し分ない。
狭い道や駐車場では1.9mの全幅が気になるものの、走りの性能や快適性に関してはSUVのネガを意識させないから、Q5は多くのファンに歓迎されるに違いない。当然、デザインやクオリティも、アウディブランドへの期待を裏切らない。軽快感やバリュー度を重視する人には2.0TFSI、上質感や刺激性にこだわる人には3.2FSIをお薦めする。
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