アウディのEセグメントを担うA6が大幅マイナーチェンジを実施。リヤまわりを中心に再構築された新デザインに加え、過給器付きエンジンで、走りと環境性能も大幅アップした
連日メディアを賑わす世界的な大恐慌のなか、年頭に配られたアウディのリリースには明るいニュースが記載されていた。13年連続の販売記録と、2008年度における年間100万台販売の達成である。その要因は、世界中で新型A4ファミリーが好調であったことと、ヨーロッパでQ5(今年日本導入を果たすコンパクトSUV)の販売が開始されたこと。まぁ、全部で12モデルが新規リリースもしくはマイナーチェンジしたのだから、それなりの効果はあったに違いない。ちなみに、日本での昨年実績は1万6040台。BMWの背中はまだ見えてこないが、それでも前年比5.4%増は立派だ。
そんなアウディの今年の攻勢がはじまった。目玉は前述のQ5だが、まずその第一弾として登場したのがA6。今回は内外装の若干の変更と、新エンジンの追加によるラインアップの見直しがメイン。具体的には、3L直噴+スーパーチャージャーの投入でV8エンジンが削られている。V8並みのトルクを発生させながら従来の3.2LV6以上の省燃費を達成するのだから恐れ入る。しかも、エンジン自体をコンパクト化するばかりか、90度のVバンク角にスーパーチャージャーを押し込めるなど、スペース効率にも長けている。
さて、新エンジンを迎えたA6のラインアップはというと、ボディはセダンとアバント、エンジンは2.8LV6と3LV6+スーパーチャージャー(ともに直噴)となる。駆動方式はすべてクワトロで、ハンドル位置はすべて右、トランスミッションもまた全部6速ティプトロニックという設定だ。そして、その上にはいわずもがなのS6/同アバントと、RS6/同アバントが君臨する。ノーマルで飽き足らない方はどうぞ!といった感じだ。
といったモデルが並ぶなかでキーを受け取ったのは3LのSライン。正式にはA6アバント3.0TFSIクワトロSラインというモデルだ。
で、まずそのエンジンだが、スーパーチャージャー搭載のそれは出だしから力強く、「おっ!」と思わず声を出すほどインパクトがある。ターボとは違う低回転域からのグイグイくるトルクはまさに機械式の特徴で、数値的にV8並みというのもわからなくない。
乗り心地は、19インチのSラインは少々硬めで、専用のアダプティブエアサスペンションを操作してもその印象は残る。「スポーティ」から「コンフォート」に設定を変えれば足は長くなるが、路面から伝わるフィールはゴツゴツ感がする。その点ではSライン以外の18インチホイールの方が親しみのある乗り心地だろう。電子デバイスが関与しない足は、
コーナーでの適度なロールなどリアルな"走り"が体感できる。
6速ATは時代感からすれば少々物足りなさがないわけでもない。デュアルクラッチ化や多段化、それにド派手なブリッピング演出が高級車のカテゴリーで闊歩している。が、"実"を考えれば十分事足りる。Dレンジのままでもすぐに反応するパドルは下りの減速時におおいに役立つというものだ。ただ、欲をいえばパドルの剛性感が上がると嬉しい。
クワトロはA4でもご承知のとおり、前後のトルク配分は40対60。よって以前よりもアンダーが弱くニュートラル的に。タイトコーナーのライン取りはFRに近くなった。
ところで、いまさらだが、アバントとセダンでの挙動の違いはほぼ皆無。バルクヘッドがなくともアバントのボディ剛性は高いレベルで保たれる。その辺はRS6にアバントがあることでおわかりただけるだろう。
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