アクの抜きすぎか? と思える159に対し、2ドアのスパイダーとブレラには、アルファロメオらしい“華”がある。とくにスパイダーは、2座席オープンという非日常感覚を象徴するような、魅惑的な存在だ。誰でも1度は「こんなクルマをスカして走らせてみたいものだ」と思うのでは?
そんな根拠のもと、今回の試乗では、都心から発ち湾岸道路を“流す”ことにした。
するとスパイダーは想像どおりステキだった。もちろんオープンだが、背後の、目立たぬよう透明樹脂でできた風除けのおかげでキャビンは快適に保たれる。たとえ高速走行下でも、髪をしなやかに風になびかせる同乗者との会話すら快適に可能なことも確認できた。またエンジン音、排気音は、加速時以外、案外と控えめ。歌うように通り過ぎていく風がBGM……なのである。
いっぽうで2.2L JTSエンジンと6速セレスピードとの組み合わせは、このクルマの優雅な走りを支援している。僅かだがシフトアップ時の所要時間も短縮された印象。“セレ”は、クラッチを介し、いささかも無駄なくエンジン性能を使い切れるのは魅力。相変わらず、排気量から想像するより柔軟性に富むのも嬉しい。
試乗車は新規設定の廉価版ながら、Alfatexと呼ばれる人工皮革調のシート表皮は風合い&感触がなめらかで、十分にリッチな趣。内容、魅力度からいって、450万円の価格設定はむしろリーズナブルと言っておこう。
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