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ALFA ROMEO ALFA SPIDER 3.2JTS Q4 DISTINCTIVE |
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■発表 2006・9 |
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情熱と官能のスパイダーが
かつてないほどの上質さを身につけた |
老舗ピニンファリーナがオープンボディへの変身を手がけたスパイダーは
新世代アルファを象徴する美しさと存在感を獲得した
では3.2L V6にフルタイム4WDを組み合わせる走りの実力はどうか |
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159からはじまった新生アルファの新車攻勢の波は、GTV後継のブレラを経て、ついに新型スパイダーにまでやってきた。その存在感は想像以上。ジウジアーロ・デザインのブレラを基本として、老舗のピニンファリーナがオープンへの変身を手がけたスパイダーは、まさに美の競演という表現がピッタリ。エッジを効かせたダンディなスタイルは、ウットリと眺めてしまうほど美しい。
では、走り味はどう変わったのか? 印象的なのはボディの進化だ。先代のボディは剛性が貧弱で、V6エンジンや幅広・扁平タイヤに対して完全に負けていたが、新型のボディは260馬力/32.8kgmの3.2JTSユニットや235/45R18タイヤをちゃんと受け止める。段差やうねりに遭遇しても、ガタピシしたり、だらしなくねじれたりする場面はなく、しっかり感が目に見えて向上した。
その代償は車重。フルタイム4WDを導入したこともあって、先代V6モデル比で360kgも重くなってしまったのだ。1830kgの車重は、同じメカ構成のブレラより80kg、159より90kgも重いのだから、走りへの影響を危惧するファンも少なくはないだろう。
でも……心配はいらない。排気量を考えると低速トルクが強力とは言い難いが、3.2JTSは十二分なフレキシビリティと、V6ならではのスムーズさや静粛性を備えているから、市街地から高速まで走りは快適。ゆとりや上質を実感しながらのドライブが楽しめる。
そして右足に意思を込めれば、3000…4000…5000回転と回すほどに活気づき、十分な速さと、アルファV6に望むドラマ性を提供してくれる。甲高い吸気音が印象的だった先代のV6とは違い、新世代V6のスポーティ感の演出は低音を効かせた排気音がポイント。そこに物足りなさを感じるファンも存在するだろうが、ベースになったGMのV6ユニットとはまるで違う官能性や洗練度を備えていることは確かだ。
しかも、先述したように新型スパイダーは、そのV6パワーを生かす駆動システムやシャシー&ボディを完備している。
FFベースのV6・4WDというと頑固なアンダーステアを連想する人もいるだろうが、前43対後57のトルク配分にセットされたトルセンCセンターデフを核とする新世代Q4(アルファのフルタイム4WD)の操縦特性はFRに近いもの。素直な回頭性と、正確かつ自由度の高いハンドリングを持ち味とする。
それでいて、抜群の高速安定性、低ミュー路での確かな駆動力という4WD本来の美点も兼備するのだから、さまざまな場面でQ4のありがたみを実感できるはず。
ただし、乗り心地だけはもう一段の洗練を望みたい。159の乗り味はフラットかつ快適なものだが、175mm短いホイールベースを持つスパイダーはピッチングモーションが大きめ。もう少しフラットライドの方向に向けば、スパイダーに乗る歓びがさらに深まるに違いない。その意味では、高性能指向の3.2JTSより、直4+FFの2.2JTSのほうが相性はよさそう。速さや迫力は3.2に譲るが、「軽やかに、気軽にオープン」というのなら2.2がお薦めだ。 |
文●森野恭行 写真●柳田由人 (問)フィアットオートジャパン TEL:0120-779-159 http://www.fiat-auto.co.jp |
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●6連ヘッドランプ(3.2はキセノン式が標準)と伝統の盾型グリルで構成されるマスクは精悍そのもの。リヤビューも抜群に美しく、本当に伊達なクルマだ。3サイズは4400×1830×1395(2.2は1380)mm。先代より105mm長く、50mm幅広く、75mm高くなった。 |
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●フロントスクリーンの傾斜が極端にきつくないため、オープン走行では十分な開放感や爽快感が得られる。ロールバーから美しく連なる左右のコブがデザイン上のアクセント。オープンが本来の姿だが……ソフトトップを纏った姿も美しい。「さすがピニンファリーナ!」と思わずうなる、いい仕事をしている。 |
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●3.2は大径&ワイドの235/45R18タイヤと、速さと重めの車重をカバーするベンチレーテッド式リヤディスクブレーキを標準装備。ちなみに2.2のタイヤは、プログレッションが215/55R16、ディスティンクティブが225/50R17だ。 |
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●2+2のブレラに対しスパイダーのキャビンは純粋な2シーター。ポルトローナ・フラウ製の本革内装はオプションで、標準のシート地はアルファテックス。 |
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●ブレラは当然のこと、セダンの159とも基本は共通。スポーティな3連サブメーター、上質なアルミ仕上げパネルやオーディオコントローラー付きレザーステアリング、先進の電子キー&プッシュスターターシステムなどを採用する。内装色はブラック/グレー、ブルー/タバコ、レッドの3種。 |
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●左右シートの後ろにキー付き収納ケースをレイアウト。その上にバッグやジャケットなどの手荷物を置くことも可能で、キャビンは十分な実用性を備える。 |
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●開口部は小さめながら、2人での旅行にも不満のない235Lのトランク容量(ブレラは300〜610L)を確保。先代はわずか147Lだったのだから、この進化は見逃せない。リッドのロック解除は室内スイッチまたはリモコンキーで行う。 |
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●直噴ガソリンのJTS、吸排気連続可変バルブタイミング機構のツインフェザーと、先端を行くメカニズムで武装した新世代の3.2LアルファV6エンジン。ベースブロックはGMのものだが、要所に独自の設計を採用する。ミッションは現在のところ6速MTのみの設定だ。 |
■アルファレッド ■ブラック ■モンテカルロブルー ■アルファシルバー
※ほか6色あり |
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伝統のソフトトップを踏襲して美しさにとことんこだわる!
流行の格納式ハードトップではなく、アルファスパイダーはソフトトップを踏襲した。大きな要因は美しさへのこだわり。格納式ハードトップは機構と格納上の制約が多く、美しいトップ形状と、居住性やトランク容量のバランスを取ることが難しいのだ。ちなみにスパイダーの電動・油圧式トップは、フロントのロック操作まで自動のフルオート。約25秒で開閉操作を完了させる。幌は耐候性に優れた5層構造。リヤスクリーンはもちろん熱線入りガラス。先代からの飛躍的な進化をカタチにしている。 |
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