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PASS THROUGH これからはETCの使い方も弱肉強食ということに? |
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これからはETCの使い方も弱肉強食ということに? |
週末ドライバーにとっては意外かもしれないが、じつは首都高速におけるETCの普及率は、すでに50%を軽々と超えている。つい最近のデータを見ると、昨年11月の最終週は約62%、平日の大型トラックばかりが通る時間帯では、じつに70%を突破しているところもあるというから驚きだ。
導入当初、高い機器に取り付け費用、さらにクレジットカード審査が必要なETCの普及率は、当たり前だが芳しくなった。当時、トラックなどの業務車両は回数券や業界向け割引を、ちょっとクルマに乗る機会が多い人はハイウェイカードを利用していた。しかし、偽造ハイウェイカードによる損失が大きくなり、ETCの普及は必須課題となっていた。そこで、ETC機器のモニターキャンペーンやハイウェイカードと同じ比率(最大5万円の前払いで5万8000円分利用可能)の割引が受けられる前払い制度などを導入して、普及率を地道に向上させてきたのだ。夜間割引や利用距離による割引が導入されると、前払い割引との併用で、お得感が大きくなり、業務用だけでなく、一般ドライバーにも普及が進んだ。
そうした努力が実を結び、普及率は50%を超え、料金所での通行渋滞は大きく改善されてきた。と、ここまではよいことづくめなのだが、公団各社が民間企業へと転身したことで、これまで大盤振る舞いだった割引サービスの数々を一気に絞り込んできた感がある。というのも、ETC機器セットアップ台数は昨年末に1000万台を突破し、ETC機器装着は当たり前の流れとなり、普及率アップを目指したサービスを見直す方向に出ているのだ。
たとえば、好評だった前払いサービスは昨年11月30日を持って終了した。その代わりに利用した金額に応じてポイントが加算される「マイレージサービス」や首都高速を頻繁に利用する人向けの「お得意様割引」、夜間の空いている時間帯を割り引く「深夜割引」等々、現在関東圏の高速道路と首都高速には事業者向けを合わせて10種類の割引サービスが用意されているが、それらすべてを理解している人は少ないはずだ。しかも、「マイレージサービス」で獲得したポイントは、自動でポイント還元されることなく、いちいち還元を申し込まなくてはいけないし、還元期間を過ぎるとポイントが消滅してしまう。しかも、一部個人事業主などが裏技として利用していた、高速の入り口はETCで入り、出口や首都高速の料金所は係員のいるブースを通り、ETCカードを手渡しで決済して領収書をもらうという方法では、ポイント加算や各種割引が利かない。
つまり、多くの人がETCの利便を実感するようになったが、その裏では、より複雑になったサービスをいかに理解し、使いこなせるかで、受けられる恩恵に大きな差が生まれる情報格差という弱肉強食がすでに始まっているのである……。 |
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●クレジットカードと同じ機能をもつETCカードを挿入する機器は、目立たない取り付けが多いので、抜き忘れに注意。 |
●特殊コーティングしている車両以外、フロントウインドウの上部にセンサー部を取り付けるクルマが増えている。 |
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●インターネットの専用ページで、自分の利用履歴や利用金額などを細かく知ることができる。 |
マイレージサービス |
通行料金の支払額に応じてポイントが貯まり、それを無料通行分と交換できるサービス。ただし、各高速道路会社によってポイントの貯まり方が違ったり、それぞれのポイントを合算することはできない。有効期限も最大で2年。 |
早朝夜間割引 |
大都市近郊区間で夜10時から早朝6時までの間で、100km以内の利用距離が5割引になるサービス。同じように時間や距離などの条件によってそれぞれ割引料金で通行できる「深夜割引」や「通勤割引」などもある。 |
曜日別時間帯別割引 |
渋滞が多い首都高速で平日のオフピーク時間帯や交通量が少ない夜間、休日の料金を時間帯に応じて3%から20%の間で割り引くサービス。より交通量が少ない時間帯に利用者の目を向けさせるサービスといえる。 |
お得意様割引 |
首都高速の月間の利用実績に応じて、翌々月の通行料金が割り引かれるサービス。クレジットカードの利用料金に応じて、ガソリン代からキャッシュバックを受ける石油会社が出しているカードのマイレージサービスに似ている。 |
特定区間料金割引 |
首都高速で短い区間だけを利用するユーザーに向けて行われる割引サービス。一度通常の料金が支払われるが、出口のETCセンサーで支払い料金のデータが修正される。ETCカードをセットアップしていないと利用できない。 |
田口浩次 |
●F1レース専門誌をはじめとする自動車雑誌、一般誌に精力的に寄稿するジャーナリスト。GooWORLDでは、長きにわたり「秘宝車ハンター倶楽部」の部員グチとして活躍している。 |
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