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LIKE NOTHING ELSE GREAT SUCCESS FOR THE TRILOGY OF HUMMER,H1,H2,H3 |
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文●九島辰也 (問)三井の輸入車コール TEL 03-5351-2777(H2、H3) |
独創的SUV、ハマーブランドにもたらされた大いなる成功 |
いまやナニがヒットするかわからない……。ハマーブランドの成功を見ているとそんな気がする。インディアナ州の北東部にある小さな街サウスベント。そこでひっそりとアメリカ陸軍向けの軍用車をつくっていたAMジェネラルというメーカーが、いまやGMの傘下に入りグループの重要なポジションに就いている。
一説によると、その功労者は現カリフォルニア州知事アーノルド・シュワルツェネガーだともいわれている。今からおよそ15年前、軍用車のハンビーに惚れこみ、ぜひ売って欲しいと頼み込んだところから市販版ハマーが生まれたとされる。マッチョな男がマッチョな乗り物を手に入れたいと考えたのだ。
まぁ、その辺の経緯はどうであれ、軍用車ハンビーはハマーというネーミングで販売が開始された。それが今日のH1である。
ちなみにAMジェネラルというメーカーだが、もともとはカイザー・ジープコーポレーションの軍用部門を母体とする。よって、ハマーのノウハウにはジープと共通するところが多いことも見逃せない。オフロードを考慮したパッケージングはそうだし、グリルからして「丸型ヘッドライト+7スロットグリル」を採用する……。
そんなことから、AMジェネラルがGMグループに入る際、現在ジープを所有するクライスラー社と裁判沙汰になったそうだ。「このアイデンティティはジープだけのもの!」と主張するクライスラーが判定を裁判所に持ち込んだ。
結果はいうまでもなく、こうしてGMグループとしてAMジェネラルはハマーを造り続けている。しかもGMの戦略に準じ、ラインアップは増殖した。
GMの戦略はとてもわかりやすい。軍用車そのままのハマーが注目を集めたのなら、それをもっと乗りやすくかつリーズナブルなプライスにすればヒットするだろうというものだ。で、そのデザインエッセンスをGM製のピックアップトラックに注ぎ込みH2を完成させ、さらには2005年からH3までも販売を開始させた。じつにお見事な戦法である。GMの読みは当たりに当たり、アメリカではどちらも大人気となっている。
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H1 |
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H2 |
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ここで考えたいのはマーケットの心理。ミルスペックに憧れちゃうくらい男は「軍モノ」好き。でも「そのままじゃオタクっぽくてちょっと……」というところもある。ミルスペックなんてオンナのコには意味不明だもんね。デートカーには向かないし。
でも「ソレっぽい」にとどめれば、グッと身近に感じられる。それにほかのクルマとは違う特別な存在としての価値が高められる。「オタクっぽい」が「個性的」に変身する。しかもその個性はデザインのみで操作はじつに楽チン。ここまでやられたら、やっぱソソられる。GMさん、お見事でした! |
九島辰也 |
●モータージャーナリスト。2005-2006日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。とはいえ、2005年末より新天地に向かった、というウワサ? |
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