そのすべてにおいて、ブランド全体の評価となってしまうのがフラッグシップ。
すべてを作り直し、未知のテクノロジーが注ぎ込まれ、空前のクオリティを実現したクルマ。
出し惜しみや妥協の一切ない、メルセデス・ベンツの真剣勝負。それが、この新しいSクラスだ。
文●GooWORLD
王者メルセデスが放つ会心の一撃の凄まじさ
プレミアムブランドのフラッグシップであるSクラスはたしかに高額モデルである。だが、長年メルセデスを愛好するユーザーからは、「Sクラスは高級ではなく、高品質」という言葉をよく耳にする。自らが描いた理想のクルマを作るべく、まだ世に存在しない技術を開発する。クオリティに妥協をしないため、当然コストがかさんでいく。それをもとに設定された価格は当然高くなる。しかし、それは「高級」をねらったものではない、というのである。
今日、グローバルプレーヤーとしてモデルラインアップの拡大と販売台数の増加という道を歩むメルセデスを見るにつけ、「メルセデスは変わった……」と揶揄する向きもある。しかし、そんな彼らをも黙らせてしまうのが、この新型Sだ。既存技術による安定路線ではなく、世界はじめてのテクノロジーをこれでもかと言わんばかりに盛り込み、ゼロから作り上げた意欲的な1台なのである。
まず、堅牢さを増したキャビンと軽量化が図られたボディシェルは、素材だけでなく形状も最適化され、衝突安全性とハンドリング性能を格段に進化させている。実際に走らせてみると、あまりの静寂と豊かなフィーリングに驚かざるを得ない。ハイブリッド、ガソリンともに、よどみない豊かなトルクを生み出す。それを進化した7Gトロニックプラスが滑らかに紡ぎ、「視覚」を備えたサスペンションによって路面に伝えられる。このサスは、路面状態をカメラで常時スキャニングしながら減衰力を自動調整するもので、フラットな姿勢を極限まで追求する。「最善か無か」という、究極のブランドスローガンを掲げるメルセデスだが、開発陣はあらゆる場面でこの言葉を自問自答したという。
試乗を終え、エレガントなボディラインからフロントフェイスを改めて眺めると、なるほど、誇らしげな顔をしている。メルセデスにとってはまさに会心の一撃なのであろう。
メルセデス・ベンツ S400ハイブリッド(7速AT) | |
全長×全幅×全高: | 5120×1900×1495mm |
ホイールベース: | 3035mm |
車両重量: | 2010kg |
エンジン: | V6DOHC |
排気量: | 3497cc |
最高出力: | 306ps/6500rpm(モーター 27ps) |
最大トルク: | 37.7kgm/3500-5250rpm (モーター 25.5kgm) |
燃料消費(JC08モード): | 15.4km/L |
タイヤサイズ前後: | 245/50R18 |
価格: | 1090万〜1270万円 |
メルセデス・ベンツ S550ロング(7速AT) | |
全長×全幅×全高: | 5250×1900×1495mm |
ホイールベース: | 3165mm |
車両重量: | 2180kg |
エンジン: | V8DOHCターボ |
排気量: | 4663cc |
最高出力: | 455ps/5250-5500rpm |
最大トルク: | 71.3kgm/1800-3500rpm |
燃料消費(JC08モード): | 10.1km/L |
タイヤサイズ前後: | 245/50R18 |
価格: | 1535万〜1595万円 |