- 激動ともいえるスポーツカーの歴史を生き抜いてきたポルシェ。
そんな世界に冠たる高級スーポーツカーブランドが心血を注ぎ、
大切に育んできたモデルが「911」。現在に至るまで純粋に、
そして一徹につくり続けられている911の秘密に迫る。 - 文●沢村慎太朗
それは数字で語れない絶対的な存在である20世紀にポルシェといえば911だった。83年前に設計事務所として立ち上がったポルシェは、第二次大戦後に自動車メーカーとして旗揚げをして356を送り出し、50年前にそれを911にフルモデルチェンジした。以降、彼らは水平対向4気筒ミドの914や直列4気筒FRの924、944、968、そしてV型8気筒FRの928をラインアップに並べたが、それでもポルシェといえば911。911はポルシェとイコールだった。バブルのころ外車の知識を増やしていった女の子たちはポルシェを「ポルポル」などと呼んだが、それは928でも944でもなく、911だけを指していた。
21世紀に入ってポルシェは、ボクスターを成功させ、カイエンで大ヒットを飛ばし、いまやパナメーラとケイマンを加えて4種モデル体制を敷き、来年はそこにマカンという小型SUVが加わる。そのあたりの情報はこの本を読むみなさんならご存知だろう。しかし、そこまで輸入車事情に詳しくない世間では、いまだにポルシェといえば911である。専門誌だって結局そうだ。カイエンやボクスター&ケイマンのフルチェンジの記事よりも、やっぱり911がタイプ991系に替わったときの扱いのほうがずっと大きかった。
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