「知的なブランド」として広く認識されている
- ●パリではおしゃれな界隈で多くのアウディを目にする。シャンゼリゼやサントノーレなどの有名なブランドストリートではまさに主役。さまざまなアウディを見かける。
「ハイソな界隈に行くほど、アウディが目につくな……」。パリの街を歩きながらそう感じた。最近、小ぎれいな場所で目立つクルマがアウディであったりすることがよくある。
もちろん、高級ブランドが集まるアップタウンには、高価でグラマラスなクルマたちが自ずと多く集まってくる。だが、そのなかでもアウディには独特の存在感があると思う。
すべての贅肉が削ぎ落とされたかという理知的で一体感のあるデザインにはじまり、全体から漂う高品質感、明確に統一されているブランドアイデンティティなどが、強烈な異彩を放っているのだ。そして、パワーをひけらかすことのないクールなたたずまいには、「知性」という言葉を感じずにはいられない。そう、アウディは知的なブランドなのだ。
ユーザーも単に富裕層であるだけでなく、医師や教職者、弁護士、管理職、さらにエンジニアなどのインテリ層が、ほかのブランド以上に多いというイメージを勝手ながら持つ。ところで、このエンジニアからの人気が高いというのは、日本においても当てはまる。よく、メーカーの開発担当者に「ほかに気になるブランドは?」と質問すると、決まってBMWとともにアウディが指名されるのを実感しているのだ。
アウディは2012年、世界で過去最高となる合計145万5100台を販売した。ヨーロッパでも約半数の73万9000台を数えたが、これがライバルであるメルセデスやBMWよりも多いかというと、そんなことはなく、ほぼ同等の数字である。
にもかかわらず、アウディが目立つと思われるのは、ブランド全体で理知的で合理的なクルマづくりをブレることなく続けているからだろう。