だれにも止められない勢いづく癒しブランド
クルマという乗り物はじつに奥深い。自然とアクセルを踏み込ませ、刺激的な走りの世界へと誘うクルマも存在すれば、シートに着いた途端に気分をリラックスさせ、癒しの境地へと導くクルマも存在する。
で、後者を代表するのがシトロエン。2CV、DSの時代からこのブランドは、乗る人をストレスから解放するクルマを造り続けてきた。現行車種においては、伝家の宝刀のハイドラクティブVプラスを採用するC5、グラッシーなキャビンとリヤエアサスの足を組み合わせたC4ピカソ、コンパクトカーとは思えないほど乗り味がたおやかなC3が、「癒し系」を代表する存在だ。
で、2011年は、その系列に魅力的な1台が加わった。そう、新しいC4だ。先代の乗り味は少し硬質なドイツ車風だったが、新型は足がグッと素直にストロークするようになり、全般にしっとりとしていて、上質な乗り味に仕立てられている。
とくにデキがいいのは、205/55R16タイヤを履くセダクションだ。タイヤのあたりはとてもマイルドで、ハイドロニューマチックサスを思わせるほど乗り心地はしなやか。フランス車の伝統を継ぐホールド感のやさしいシートとの合わせ技で、Cセグメントの中の「ピン」と言える上質な乗り心地を実現している。
しかも今のシトロエンは、操縦安定性の面でもきちんとシャシーを躾けている。17インチタイヤを履くエクスクルーシブと比べると、旋回の限界や操舵のダイレクト感では見劣りするが、ロールや挙動のつながりはむしろセダクションのほうが自然。それが、ハイペース走行でも「安心感」として確かめられるのだから、この足はよくできている。
新型C4のステアリングを握って、とても幸せな気分になったのはそのため。走るほどに癒されるような、「シトロエン・マジック」とも呼べる不思議な感覚がそこにあった。クサラ、初代C4と進化を続け、2代目C4でついに、シトロエン流を完全にものにした印象が強い。
加えて、近年のシトロエンの新作は、内外装の仕上がりもいい。エレガントで存在感のあるスタイルに、クオリティをC5レベルまで高めた内装を組み合わせた新型C4はきっと、個性的でセンスのいい1台を探す大人たちの目にとまるに違いない。なんだか、ヒットの予感がする。
また、力作の新型C4に続きスペシャルティ系列の「DSシリーズ」の新作も、日本上陸に向けてスタンバイをしている。ミニのマーケットに切り込んだDS3の勢いをそのままに、5ドアクーペ風クロスオーバーのDS4や、上級クロスオーバーのDS5もブレイクしそうだ。
このように、2009年にブランドロゴを一新してからのシトロエンは、まさに元気いっぱい。個性が光るラインアップを増殖させている。となれば、「ダブルシェブロン」や「DS」のロゴをつけたニューモデルから、もう目が離せなくなる!
P R O F I L E
自動車ジャーナリスト 森野恭行
●若いときから「歩く自動車辞典」と呼ばれる自動車ジャーナリスト。その膨大なデータ量と試乗経験はスポーツカーからミニバン、エコカーにもおよび、あらゆるクルマを冷静にそして多角的に捉える。
S p e c .
シトロエンC4エクスクルーシブ(6速AT)
全長×全幅×全高:4330×1790×1490mm
車両重量:1370kg
エンジン:直4DOHC
総排気量:1598cc
最高出力:156ps/6000rpm
最大トルク:24.5kgm/1400〜3500rpm
サスペンション前:ストラット
サスペンション後:トーションビーム
この2台も見逃せない!
CITROЁN C5 シトロエン C5
●サスには「魔法の絨毯」とも形容されるハイドラクティブVプラスを採用。心と体を癒す、すこぶる快適な乗り心地は、C5でしか味わえない種類のものだ。現在の心臓は1.6L直噴ターボ+6速AT。セダンとツアラーを設定する。 新車価格帯 399万〜469万円 |