●江戸時代に参勤交代や日光参拝のために栄えた南会津の宿場町。その当時の姿を現代に残す大内宿では、日本古来の美意識や自然と共存する人々の知恵を見ることができた。
●江戸時代の姿そのものを伝える大内宿は、重要伝統的建造物群保存地区に全国で3番目に選定された。
子供を持つ父親にとって、旅行は楽しみであると同時に、頭を悩ませるイベント。とくに子供が小さい頃は、はしゃいで騒いで、あげくの果て寝てしまうなんてこともたびたび。だから、プライベート空間が確保できて、ドア・ツー・ドアで移動できるクルマは最高のパートナーだ。
しかも、今回の相棒となるグランドボイジャーは、アメリカ生まれの本格7シーター・ミニバン。そこで、我が家3人に加えて子供の友人とそのママも誘い、総勢5人で出発した。
目的地として設定したのは、福島県の南会津という地方。江戸時代の宿場町がそのまま現代まで保存されているという大内宿だ。
大内宿が存在するのは、栃木県の日光街道今市宿から会津若松まで、総延長約128kmにおよぶ会津西街道の中間地点。周囲を高い山に囲まれた盆地にあり、全長500m弱の通りの両側には、茅葺き屋根の民家が立ち並ぶ。宿場町が開かれたのは1643年頃で、会津藩の参勤交代や公用通路、また庶民にとっては日光詣でのための重要な交通路として、人と物資の行き来を支えた。
明治維新後、主要道路から外れたことで衰退するが、同時にそれが、近代化を逃れ、当時の姿を今に伝える要因ともなった。大内宿は、いわば、“街のタイムカプセル”なのだ。
都心を出発し東北自動車道を北上、栃木県北から日光会津西街道をたどる旅の行程で、まず感じられたのがグランドボイジャーの室内空間がもたらしてくれる圧倒的な余裕だった。
とくに2列目シートは女性陣に好評で、独立したエアコンや上質なシート、子供達が座る3列目へのアクセスのしやすさが絶賛された。また、6速ATが与えられたパワートレーンが巡航時の静粛性に優れていた事も特筆すべきポイント。大きな声を出さずとも運転席から3列目まで、車内が一体となって会話がはずんだことで、5時間以上にもわたる移動中も笑いが絶えなかった。
大型ミニバンということで心配された燃費が優秀だったことも好印象。山間路を含めた往復約500kmの行程を無給油で走り切ったのは立派だ。
さらに感心したのが、省燃費走行を知らせる「ECO」マークが点灯するよう走らせると、自然とエンジン騒音やサスペンションの動きも快適な領域に落ち着くこと。そのときの乗り味は、まさに「陸上のクルーザー」。週末が待ち遠しくなること請け合いの1台だ。