このクルマの乗り心地は、いい悪いでは語れない。硬いやわらかいという次元でもない。たとえばBMWの6気筒エンジンやポルシェ911のハンドリングみたいに、好き嫌いで語れる存在だ。
シトロエン以外にも、オイルやガスを使った電子制御サスペンションはあるけれど、ほとんどが金属バネに近いフィーリングを目指している感がある。でもC5のハイドラクティブVプラスはそうじゃない。目をつぶっていてもそれとわかる。路面にカーペットを敷きながら、あるいは地上数センチを滑空しているようなフィーリング。夢心地だ。
なにしろこのブランドには、ハイドロニューマティック以来半世紀以上の経験がある。金属バネでは作り出せない快適を、だれよりも知っている。かつてはライバルを意識して足を硬めたこともあったが、そんな彼らもようやく理想の着地点を見つけたようだ。多くの人に快適を与えつつ、他車と明らかに違う乗り心地。C5に乗ると、シトロエンが世界一のエアサス使い、油圧使いであることを思い知らされるのだ。
クルマ好きはとにかくサウンドやハンドリングを話題にするけれど、それらは限られた場所でしか味わえない。でも乗り心地は発進してから目的地に到着するまで、ずっとつきあうもの。それを気に入るかどうかで、クルマと過ごす時間が楽しいかどうかが決まってしまう。ラクなクルマこそ、じつは最強。新型C5はそれを教えてくれるのである。
2nd Recommend
RENAULT TWINGO ルノー トゥインゴ
これ以上、何をこのクルマに期待しますか
スマイルを失った顔にガッカリした人もいるだろうけれど、乗ればヨーロピアンコンパクトの楽しさにあふれ、しかもルノーそのものの走りであることにドライバーがニッコリ。1.2Lエンジンは軽快に吹け上がってスポーツマインドを味わわせつつ、乗り心地は大型車のようにフラット。でも山道ではふたたびコンパクトカーらしい身のこなしで楽しませてくれる。ルノーeco2ラベルがついていることでわかるように環境にもやさしい。これからガイシャに乗ろうという人に最適なパートナーという感じがするのだ。
主要諸元
- 08年モデル ルノー トゥインゴ
- (クイックシフト5/シーケンシャルモード付き5速MT)
- ●全長×全幅×全高
- :3600×1655×1470mm
- ●車両重量
- :980kg
- ●エンジン形式
- :直4SOHC
- ●総排気量
- :1148cc
- ●最高出力
- :75ps/5500rpm
- ●最高トルク
- :10.9kg m/4250rpm
- ●新車価格
- :198万円